◎今月のすてき島人
合同会社 鬼の畠(はたけ)
代表 中條 祐太(ちゅうじょうゆうた)さん
■新たな農産物と移住支援 全力で島を元気に
─女木島に移住したきっかけは何ですか。
祖母は女木島の魅力を発信するイベントを10年以上開催していました。島の人口を増やすためにはイベントだけでなく、雇用を生む必要があると感じた祖母は、香川を離れて東京の大学に進学していた私に、「島で起業してみないか」と誘ってきました。私自身、田舎の暮らしが好きで、いずれは香川に帰るつもりでしたので、大学時代のルームシェア仲間3人と2021年4月に移住し、8月に会社を設立しました。
─農業で起業したのはなぜでしょう。
事業内容を考えた時に、目についたのが荒れた段々畑。担い手不足により放置されたままの畑は、島の景観を損ねるだけでなく、獣害問題も深刻だと島の人から聞き、「農業」に着目しました。島の伝統食材のニンニクやタマネギなどを畑で栽培しながら、事業を継続できるように、安定した生産と収益が見込める貨物コンテナを活用したキクラゲ栽培を始めました。
─これから島で取り組みたいことは何ですか。
雇用を生んでも、島の人口を増やすには住む場所が必要です。島の将来に危機感を感じている島民や島外に住む島出身者と協力し、島の人口増を目的とした団体「MEGINOBI(めぎのび)」を立ち上げました。今後、空き家の整備を進めていく予定です。私も移住者ですが、祖母が島民と良好な関係を築いてくれていたおかげで、島になじむことができました。今度は私が島民と移住者をつなぐ橋渡し役となって、島を盛り上げていきたいですね。
■島民との絆が残した壁画アート
女木港近くの交流拠点施設「女木の里」のブロック塀には、可愛らしい鬼たちが生き生きと描かれ、道行く人に元気を与えています。この壁画を手掛けたのは藤村佳朋さん。「アートで町おこしがしたい」と、2018年に京都から移住してきました。
過去に描かれた作品が色あせたまま残っていたブロック塀。「何とかしてほしい」と島民の要望を受け、1年半かけて完成させました。壁画には鬼の他に、ニンニクやサザエ、大洞窟など「島の人が大事にしてきたものを描いた」と言います。
一時は、耐震不足で、取り壊しの危機に直面しましたが、自治会が「島の宝だから」と立ち上がり、耐震化の費用を捻出してくれました。藤村さんと島民の思いが詰まった壁画アートは、今も観光客の目を引き付けています。
■女木島
◯〈芸術祭作品〉杉浦康益「段々の風」
かつて段々畑だった場所に、約400個の信楽焼のブロックを積み上げた作品。目の前に広がる島の町並みと瀬戸内海が作品と見事に調和しています。
◯恋人岬
弓ヶ浜の海水浴場に鬼の角のような形をした突き出た場所があります。先端まで歩いて行くことができ、島全体が見渡せるほか、瀬戸内海と屋島を眺めることができます。
◯〈芸術祭作品〉木村崇人「カモメの駐車場」
女木港の防波堤と防潮堤に、約300羽のカモメがずらりと並んでいます。風が吹くと一斉に向きを変え迫力があります。風が強い冬の時期は、一部避難しています。
◯高松市鬼ヶ島おにの館
港の待合所。大洞窟行きバスのチケット販売、レンタサイクルの貸し出しなど、観光案内所も兼ねています。「鬼の間」では鬼に関する資料を展示。
※表紙写真は高松市鬼ヶ島おにの館を背景に撮影しました。
◯オーテ
「オトシ」と呼ばれる冬の季節風から家を守るために築かれた石垣。オーテの中は迷路のようになっていて、歩くだけで風情を楽しめます。
◯鬼ヶ島大洞窟
桃太郎伝説の鬼のすみかとされる洞窟。怪しげな雰囲気漂う洞窟内には、鬼の大広間や居間などを再現しているほか、瀬戸内国際芸術祭の作品で、県内の中学生約3千人がつくった県の伝統工芸品の鬼瓦「オニノコプロジェクト」を展示しています。
■3月 全島カレンダー
◯塩飽本島マイペースマラソン フィナーレウォーク大会
〈本島〉
日時:3月17日(日)午前10時30分スタート
場所:本島コミュニティセンター
参加費:中学生以上200円(保険料込み)
申し込み:3月11日(月)までに事務局に電話、または二次元コードから申し込み
【電話】0877-27-3222
※二次元コードは広報紙3ページをご覧ください。
▼data
女木島(高松市)
人口:125人
面積:2.62平方キロメートル
(2023年12月1日現在)
《アクセス》
高松港からフェリーで約20分
《島内の交通手段》
・レンタサイクル
・徒歩
・バス(鬼ヶ島大洞窟行き)
※詳しくは広報紙2~3ページをご覧ください。
※特集「瀬戸の宝石うちの島」は来年度から随時掲載します。
問い合わせ先:高松市観光交流課
【電話】087-839-2416
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