■はじめに
今年4月に新聞やテレビを賑わした「消滅可能性都市」。さぬき市は10年前の2014年に続いてその候補として名前が挙がりました。これは、民間の有識者グループの「人口戦略会議」が公表したもので、2020年からの30年間で、子どもを産む中心世代の20代から30代の女性が半数以下になるとの推計が根拠になっています。
確かにさぬき市では、長らく人口減少傾向が続いており、市では、これまでも住みたい、住みたくなる、住んで良かったと思えるまちづくりを目指して、様々な人口減少対策に取り組んで来ましたが、その解決には至っていません。国全体の人口が減少に向かう中、今後どのようにこの大きな課題と向き合っていくのかを考える一つのきっかけとして、今年度、特集記事「人口減少が進むさぬき市に暮らす」を、掲載していきます。
第一回目となる今月は、これまでの人口の推移、人口減少の要因および人口減少がもたらす影響などについて考えます。
▽さぬき市の「20~39歳女性」の将来推計人口
(「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」)
■人口の推移と人口減少の要因
さぬき市の人口は、旧5町が合併した当初の平成15年末には56,643人でしたが、昨年令和5年末には45,108人となり、この21年間で11,535人、率にして20.4%減少しました。
平成16年以降の20年間を5年刻みで見てみると、平成16年から20年までの5年間は、年間平均約400人の減少であったのが、令和元年から5年は、年間平均約750人の減少となっており、減少幅が2倍近くに拡大しています。
その内訳として、人口の自然増減(出生数ー死亡数)と社会増減(転入数ー転出数)の推移を見ると、ほぼ一貫して自然減の幅が拡大し続けており、同様の5年刻みでは、平成16年から20年までの5年間は、年間平均約250人の減少であったのが、令和元年から5年には、年間平均約550人の減少と減少幅が大きく拡大しています。
一方、社会増減についても、マイナス傾向は一貫していますが、その幅は上下しており、これまで最も減少幅が大きかったのは、平成23年のマイナス342人、最小は平成26年のマイナス23人と、年によってかなりの差異がありますが、ここ数年の減少幅は縮小しています。
このように、人口減少の最大の理由は、高齢化にともなって亡くなられる方が増加する一方、出生数の減少が顕著になって自然減が拡大していることと言え、特に出生数は、合併当初400人台であったのが、平成17年以降は、300人台、200人台、100人台へと減少し、昨年令和5年は158人まで落ち込んでいます。
さらに、この出生数減少の要因を探ってみると、例えば、令和2年から令和5年の間をとってみても、20歳〜29歳までの年齢層の社会増減において、他の年齢層と比べて著しい転出超過の状況となっており、少子化につながる一つの大きな要因ではないかと考えられます。
■グラフで見るさぬき市の人口
▽出生数・死亡数(自然増減)
「住民基本台帳」
▽人口推移
「住民基本台帳」
▽性別・年齢階層別転入出数
[令和2年(2020)-令和5年(2023)合算値]
▽転入数・転出数(社会増減)
「住民基本台帳」
■人口減少がもたらすさまざまな影響
では人口減少の何が問題なのでしょうか?
長期的な人口減少の影響として、まず経済の面では、働き手が減ることによるモノやサービスの生産と供給の停滞、消費の縮小など、需要と供給の両面から、地域経済の縮小に繋がる影響が考えられます。
また、地域社会においては、伝統行事やコミュニティ活動が維持できなくなって地域活力が低下するほか、学校の閉校、空き家の増加、農林水産業の衰退や森林の荒廃などとともに、日常の買い物や医療など生活に必要なサービスの確保が難しくなりかねないといった影響も懸念されます。
さらに、税・財政などの面では、社会保障の財源である保険料や税収の減少等により、社会の仕組みの維持やまちづくりへの影響なども考えられ、人口減少は、経済、地域社会、財政などさまざまな方面にマイナスの影響をもたらすと言われています。
■次号予告
10月号以降では、さぬき市のこれまでの人口減少対策などのほか、今後も人口減少が避けられない社会情勢の中、市は、そして私達市民は、この大きな課題についてどのように考え、いかに向き合っていくのかについて考えるとともに、そのヒントとなるさまざまな取り組みなどについてお伝えしていきます。
問合せ:プロジェクト推進室
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