このコーナーでは、何気ない日常で見つけた素敵なデザインを楽しみます。
▼日高村「見仏記」(鑑賞入門 菩薩編)
今回も日高村の仏教文化財を楽しく鑑賞するヒントを紹介します。
▽菩薩
菩薩の姿はまだ悟りをひらく前の釈迦がモデルで、古代インドの貴族の格好です。髪は長くそれを頭の上で結い上げています。また冠や首飾りなどの豪華な装飾品もたくさん着けているのも特徴です。こういった菩薩独自の特徴や仏像一般の特徴について日高村にある菩薩像で見てみましょう。
(1)全体:古いインドの貴族の格好をしている。
(2)髪の毛:長く伸ばし、それを頭の上で結い上げている。
(3)衣:下半身は巻きスカート、上半身には帯と天衣(てんね)をまとっている。
(4)装飾品:冠や首飾りをつけている。
(5)その他:仏教の真髄「慈悲」のうち「悲」(優しさ)を表現している。
〇木造菩薩面(下分・小村神社)
国重要文化財で平安時代の面、二面と村指定文化財で鎌倉時代の面があります。重要文化財の面は、高知県では最古の面で、頭の前半分がすっぽりと入るぐらい大型で奥行きがあり、大陸から渡来した古い仮面の特徴を持ち合わせています。髪型は上下二本の紐で束ねた髪が、さらに何筋かに分かれてその周辺に垂れているもので「垂髻(すいけい)」と呼ばれる型です。この3面は年に一度、11月15日の秋大祭時に公開されています(荒天の場合文化財保護の観点から公開が見送られる場合もあります)
〇十一面観音坐像鏡像(下分・葛原神社)
葛原神社の御正体類と呼ばれるのは鏡で、あらゆる人々に目を向け救うためにたくさんの顔がついているとされる「十一面観音」が彫られています。正面は優しい顔、向かって右側は怒った顔、左側は牙がついた顔になっていて、一番上には阿弥陀如来の顔がついています。(※御正体類は通常一般公開はされていません)
※今回紹介した仏像は通常一般公開されていません。
•参考資料
・令和4年度日高村文化財保存活用地域計画策定委託業務(概要調査)報告書
・日高村教育委員会「日高村史」1976年
・山本勉「仏像のひみつ」朝日出版社2006年
・西村公朝・飛鳥園「やさしい仏像の見方」新潮社1983年
・日高村文化財保護審議委員会「日高村文化財誌」1972年
・高知県教育委員会「高知県文化財ハンドブック」高知県文化財団
※詳しくは、本紙17ページをご覧ください。
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