文字サイズ
自治体の皆さまへ

No.193博物館だより コテングコウモリのお話

37/49

高知県越知町

現在、博物館では企画展「コウモリがいっぱい」を開催しています。
世界にはおよそ1000種、日本には38種、四国には16種そして横倉山には8種のコウモリがいます。これらのコウモリについて、コウモリと人との関わり、世界のコウモリ・日本のコウモリ、最新の横倉山コウモリ情報を多くの人に知ってもらうために、写真や解説パネル、実物標本などを展示しています。
この展示は、日本のコウモリ類の研究と保護を考える「コウモリの会」から資料をお借りして構成しています。
さて、越知町そして横倉山の周辺では8種のコウモリが見つかっていますが、今回は、その内の一種であるコテングコウモリについて詳しく紹介します。
コテングコウモリは、体の大きさが頭からしっぽの先までが6~9cm、体重は3・5~6・5gで、日本に住むコウモリの中では小さい方で、北海道、本州、四国で見つかっています。食べ物は、蚊や蛾などの夜に空を飛ぶ昆虫です。名前の由来は鼻の形が変わっていて、写真のように鼻の穴がチューブ状に飛び出ています。天狗のように大きな鼻を持っているように見えて、小さなコウモリなので「小天狗蝙蝠」という名前がついています。体色は、胴体は黄土色で、翼の被膜は黒色をしています。日本に住むコウモリの中では毛深い方で、後ろ足から尾までの被膜にも毛が生えています。
このコテングコウモリ、高知県にもいることが分かったのは、平成15年10月13日です。県内の初確認地は、越知町横倉山です。第三駐車場から遊歩道を10分ほど進んだところで捕獲調査をしたところ、仕掛けた網につかまっていました。四国自然史科学研究センターの調査で私が行っていたのですが、私はコテングコウモリを見たのはこの時が初めてで、「なんだか茶色くて、小さくて、けむくじゃらのコウモリが捕れたけれど、なんだろう?」と、図鑑をみて調べたところ、県内初確認となるコテングコウモリでした。このころ、全国的にコテングコウモリの記録は多くなく、とても珍しい種類でした。
あれから約20年たった今、コテングコウモリは高知県内のあちこちで見つかり始めました。数が増えているのではなく、調べ方が分かってきたのです。このコウモリは、大きな葉っぱが枯れて、丸くなっている中で休むことが最近分かってきました。そこで、コテングコウモリが休んでくれるように、アカメガシワという名前の木の葉っぱを、10枚くらいヒモで、たばねた枯葉トラップを林の中にぶら下げてみたところ、その中にもぐりこんで寝ているコテングコウモリが見つかりました。この生態が知られるようになってから調査が進み、情報が多くなってきているのです。
※枯葉の中にいるコテングコウモリを見つけても、捕まえないでそっと見るだけにしてあげてくださいね。
(横倉山自然の森博物館学芸員 谷地森秀二)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU