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【特集】倉吉の過去・現在・未来が見える 博物館にでかけよう(1)

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鳥取県倉吉市

博物館は、過去と現在を保存して、知識や文化を蓄えておく場所です。それらの知識や文化を来館者に伝えようと、さまざまな工夫がされています。倉吉博物館は、今年で開館50周年を迎えました。半世紀にわたり、倉吉の知識や文化を蓄え、伝え続けてきた倉吉博物館の魅力をご紹介します。

■市民に親しまれて50年
倉吉博物館は市制20周年を記念して建設され、1974(昭和49)年5月に歴史と美術の2部門で開館しました。1982(昭和57)年には隣接する歴史民俗資料館が開館し、両館は倉吉市の芸術・歴史文化の専門施設として皆さんに親しまれてきました。市の博物館としての特徴を根鈴館長に聞きました。

◇建物の特徴を教えてください
赤瓦に白壁の外観は、古い町並みの土蔵群をイメージしています。玉川の景観を中庭に取り入れ、水を流して石橋を架けています。
設計を手がけたのは小角亨(とおる)さん(日建設計株式会社)です。日建設計は、県立博物館の設計も行っています。倉吉博物館の建物は、環境や地域社会とのつながりを反映した点が評価され、開館翌年、第16回日本建築業協会賞を受賞しました。同じ年に最高裁判所も選考された由緒ある建築賞です。

◇県立や国立の博物館とは異なる「地域の博物館」の役割とは
国や県がカバーできない、地域を拠点に活動する作家やゆかりの偉人、遺産を取り上げています。国や県の博物館が皆が知っている大手の居酒屋だとすると、市・町は濃く、美味(うま)く醸造した地酒を扱う居酒屋のようなもの。地域への愛着と誇りは、この居酒屋から発信され、どうしても訪ねてみたいお店となるのだと思います。

◇市民の皆さんにメッセージをお願いします
博物館が保存・展示する、地域で生み出された芸術文化や長い年月のなかで積み重ねられた歴史文化に、訪れた人それぞれのアイデンティティを見つけてください。市民も観光客も郷土の出身者も、倉吉の誇りにほっこりしてください。そして居心地の良い場所を探してください。

■学芸員のお仕事
博物館は歴史・考古、美術、民俗、自然科学の4部門からなり、部門ごとに専門知識を持つ学芸員がいます。学芸員の資料収集・保管・展示、調査研究などの50年間の積み重ねが、現在の博物館を形作っています。学芸員に日々のお仕事を聞きました。

◆考古
▽収蔵品(考古)の管理
大切な収蔵品を後世まで残していくために、展示・収蔵環境をモニタリングしています。修復から年月が経っている収蔵品や傷みが進行しているものなど、修理計画を策定し、専門業者に修理を依頼することもあります。

▽展覧会の企画
展覧会を開催する4~5年前からおおよそのテーマを決め、2年前には展示内容を決めます。企画書を作成し他館へ借用資料の交渉を行います。国宝や重要文化財は借りる際に文化財保護法に沿った手続きが必要です。その後、美術専門輸送業者の選定、ポスター類の作成や展示室レイアウトの決定、図録執筆など、やることはもりだくさんです。体力、気力?、胆力?が試されますがさまざまな場所へ出かけ直接資料を扱い、収蔵品をはじめ、資料の魅力を来館者に伝えることのできる楽しい仕事です。

◆歴史・民俗
▽収蔵品(民俗資料)の収集
年に数回、建物を解体する機会に農具など寄贈の申し出があります。なかには、所有者の方が博物館にふさわしいと思われているものより、汚れて壊れているものを収集する場合があります。
例えば千歯扱(せんばこ)きや古文書など貴重な歴史資料も、錆(さ)びて汚れた古いものとして処分を考えておられる場合が多くあります。知らずに廃棄されてしまうことを防ぐために、電話で連絡があれば必ず現地にうかがい、自分の目で資料を確認します。倉吉の歴史を伝える資料として価値があると判断した時に、博物館資料としてお受けします。また、その際は、資料の価値を元の所有者にきちんとお伝えすることを心がけています。

◆美術
▽作家や作品の調査
前田寛治や菅楯彦など郷土ゆかりの作家や美術賞の作家、地元作家、高校生、地元出身で県外で活動をしている作家、と多くの人々と作品に関わっています。集めた情報や出会いが展覧会や講座などに繋がっています。資料整理や文献調査などは根気も必要ですが、作品を一番最初に見ることが出来たり、作家さんの言葉を直接聞くことは得がたい経験です。
県伝統工芸士認定調査や他館の収集評価委員、美術賞の推薦委員などを通して、特別な作家情報が得られたりもします。

▽普及活動
芸術療法の一つである臨床美術ワークショップや、認知症の方を対象とした美術鑑賞なども開催しています。ホールには所蔵品のぬり絵など簡単な創作コーナーも設置していますので、多くの方に博物館を楽しんでいただけると嬉しいです。

◆自然科学
▽打吹山の動物の生態調査
打吹山の環境調査を目的に林内に自動撮影カメラを設置し、撮影された動物(主に哺乳類)を記録しています。撮影された動物の写真は博物館ホームページや夏休み自然科学展の写真展示などで公開しています。今までに、イノシシ、ニホンジカ、ニホンアナグマ、タヌキ、ニホンノウサギなどが写っており、博物館から直線距離で100mにも満たない林内でたくさんの動物たちが生活していることを明らかにするものとなっています。

ほかにも、学校や各地区コミュニティセンターで講師を行うなど、仕事は多岐にわたるよ

問合せ:倉吉博物館
【電話】22-4409
【FAX】22-4415

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