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南部町のいきものたち(211)

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鳥取県南部町

■カムルチー(ライギョ)
◇鯉が食われてしまう
浅井地区では、「うぐい」と呼ばれる漁具を使って鯉を捕る伝統文化があります。県の無形民俗文化財に指定されています。ため池に鯉の稚魚を放流し、秋に池の水を抜いて大きく育った個体を捕まえ食用にすることは、長らく貴重な蛋白源として、全国各地で類似の漁が行われていたとのこと。2020年10月11日、私は一度は現場を見ておきたいと、ため池へ赴きました。そこでは、大きな竹籠で鯉を捕まえる地元の方が泥だらけで奮闘中。50センチ以上の暴れる鯉を袋に移して水揚げしていました。その堤で鯉とは別の巨大魚が何匹も転がっています。それが、私が町内で初めて確認したライギョことカムルチーだったのです。地域の方によると、誰かが釣り目的でため池に放したらしく、購入した鯉の赤ちゃんを食われて困るとのこと。平成になってからライギョが鯉と一緒に捕れるようになったと話されていました。

◇美味! 雷魚定食!
旧要注意外来生物だったカムルチーは、現在、法的になんの肩書きもありません。しかし、ため池から下流に逸脱し、小松谷川の生物に悪影響を与えることが示唆されています。捕まえたら元に戻さないほうがいい生き物ですが、大きい上に、噛み付いてくるので取り扱いが厄介です。ところがこのライギョ、かなりの美味。白身魚の中でもトップクラスの美味しさに大変驚きました。しかも、70センチサイズでは20片以上の切り身が取れ、1匹で20人分です。原産地でも有用魚として食材になっています。

◇とにかく逃がさない
カムルチーを飼う場合、大きな水槽や桶と深い丈夫な網が必要です。しかも、すごい力で飛び出て脱走し、水なしでも1日生きていることもあります。さらには蛇のように這って移動するので、まさに英名スネークヘッドさながらです。逃げないように金網で蓋をし、四つ角を針金で固定すれば、日陰でエアーポンプなしでも飼育管理できます。桶のフチに指をかけると襲ってくることもあるので気をつけましょう。美味しく調理してあげて、命が粗末に扱われないよう、外来種の有効活用を考えるきっかけになればと思います。

自然観察指導員 桐原真希

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