赤井さんは南部町をはじめ県西部の山や水田など、様々な環境の植物を調査しています。神奈川県の出身で大学の農学部を卒業後、東京で造園の仕事に就くなど、植物が身近だったという赤井さんが本格的にフィールドワークを始めたのは、結婚を機に南部町に住み始めてからでした。
同じように見える森でも、鳥取県は植物の種類が多く、高い多様性を持っていたことに惹きつけられました。また南部町は川や田、樹林など様々な要素によってひとつの里山環境が作られており、さらに隣接する島根県に近い要素を持つ特殊な環境にあるといいます。「ここを調べてみると面白そう」と思ったことをきっかけに、約20年にわたり調査を続けています。
赤井さんの調査で多くの希少植物が見つかりました。長い間生育が確認されず鳥取県で絶滅とされていた「ヌマダイコン」を、2年前に町内2か所で発見。また、鳥取県で初めて確認された植物も4種類見つけました。こうした貴重な発見は、豊かな里山環境の指標となっています。今後は調査の記録を学術誌等に報告し、記録を残す活動をしていきたいと考えています。
しかし近年、町内でも休耕田が増えつつあります。里山の生物多様性は水田利用で成り立ってきたことから、これからも水田が維持され、里山の環境が保全されることを願っています。
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