■麻しん(はしか)に注意
岩美病院 医局
麻しんは、現在、全国での感染事例が増加しています。日本は、2015年に麻疹の排除状態にあるという認定を受けており、2015年以降の日本の麻疹症例は、輸入症例か、輸入症例からの伝播(でんぱ)によります。コロナによる入出国の制限が緩和されつつある今、麻しんの流行が危惧されます。
★麻しんはどんな病気?
麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんは感染力が非常に強く(インフルエンザの約10倍)、空気感染が主な感染経路です。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。予防接種歴が2回ある方や、麻しんに感染したことのある方は、感染する恐れはほとんどありません。
★麻しんの症状は?
典型的なはしかの経過は、10~12日ほどの潜伏期間の後、初期が『カタル期』と呼ばれ、発熱・せき・鼻水・目の充血・下痢などの症状が出て、頰粘膜に白い斑点「コプリック斑」が現れることがあります(2~4日間)。その後にいったん解熱するものの、『発疹期』になると高熱とともに全身性の発疹が出現します(3~5日間)。その後は、熱も下がりはじめ、発疹は茶褐色の色素沈着を残したあと、だんだん消えていく『回復期』に向かいます。
※『カタル期」は風邪の症状に似ているために見過ごされる可能性があり、さらに周りの人に対する感染力が最も強い時期であり注意が必要です!
★麻しんの治療・予防方法
麻しんは現段階では有効な治療薬がないため、しっかり予防しておくことが重要です。
麻しんの有効な予防方法は、ワクチンの2回接種が推奨されており、麻疹ワクチンと風疹ワクチンが混合されているMRワクチンを接種するのが一般的です。予防接種法に基づく定期予防接種(1歳と小学校入学前年度の1年間の2回)が行われており、定期予防接種の対象でない者は、医療機関で任意の予防接種が可能です。昭和47年~平成2年生まれ(20歳代後半~40歳半ば)の方は、ワクチン1回接種のみであり、追加接種が望ましいです。はしかにかかったことがなく、予防接種を受けていない人や受けたかどうかわからないという人は、予防接種を検討しましょう。血液検査で抗体価を測定し、免疫が不十分かどうか調べることも可能です。以前に予防接種を受けたことがある人が、再度予防接種を受けても医学的には問題ありません。
★症状の疑いのある方へ
国外、県外への旅行・出張等の後に、麻しんが疑われる症状が現れた場合は、必ず事前に医療機関に連絡し、医療機関の指示に従って受診してください。医療機関へ移動される際は、麻しんの感染力はとても強いため、周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用は避けましょう。
問い合せ:岩美病院 事務局
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