■シクラメン×東義弘
時吉地区の田園に囲まれた東花園(かえん)。稲穂が色づき秋風に揺れる中、園内のビニールハウスではシクラメンの手入れにせわしない日々が続きます。無駄のない手さばきで、一株一株丁寧に葉の形を整えるのは東義弘さん。妻の人美さんと共に、9千株ものシクラメンを栽培しています。
東さんがシクラメン農家になろうと思ったのは、農業高校に通っていたとき。それまでシクラメンを見たこともなかった東さんは、恩師の言葉がきっかけで興味を抱きます。「その先生はとにかく実技に長けていて、農家の人がそのまま教師になったような人でしたね。植物の知識も豊富で、農業に関して先見の明があるように思えました。そんな先生から『これからは花、特にシクラメン業界が伸びる』と聞いたときに、強い説得力を感じて将来やってみようと思ったんです」と振り返ります。大学卒業後、中古のビニールハウスでシクラメンを育て始めた東さん。当時はシクラメン栽培の情報が少なく、試行錯誤の連続だったそうです。「農業高校時代の恩師に教えを請うたり、県外の農家へ出向いて見学したりしました。色々と遠回りはしましたが、その経験が今も生きていると思います」と笑顔を見せます。
冬から春にかけて半年間にわたり華やかな彩りを楽しめるシクラメン。東さんは、購入後も自宅で簡単に育てられるよう、底面給水システムと呼ばれる方法で栽培しています。「水を張った溝の上に鉢を置いて、下から給水するのが底面給水です。買った後は鉢の下の皿に水を入れるだけなので、少ない手間で育てられます。シクラメンは他の花よりも比較的高価。お客様の下でできるだけ長くきれいな花を咲かせるシクラメンを追及しています」と語る東さん。こだわりのシクラメンは、11月23日から園内で約3週間販売されます。
○東 義弘(ひがし よしひろ)さん(62)
時吉地区の葉タバコ農家に生まれる。大学卒業後、両親を説得して実家でシクラメン栽培を開始。現在は、妻の人美さんと約30種類のシクラメンを育てている。
『東花園のマップ 11月23日から販売』は、本紙またはPDF版掲載の二次元コードよりご覧ください。
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