■郷土芸能保存活動(1)
町民歌の2番に、「文化の翼 とびかよう ああ躍進の中種子町」という一節があります。
昭和30年頃は歌詞にもあるとおり、人口2万人に届きそうな勢いで、農業の町として成長していきました。人々は、島独特の「結い」の精神に基づいた協同社会を育み、地域の伝統を継承しながら共栄してきました。各地域では郷土芸能が伝承され、町郷土誌によれば、当時の民俗芸能を伝承している集落は32集落で、願成就祭り(秋祭り)など、神社での奉納による保存活動がなされていました。
特に規模の大きい「大踊り」は「源太郎踊り」・「北の町」・「しむればなる」など各集落で延べ85の踊り、「やーとせー」「なぎなた踊り」などの「中踊り」が85の踊り、「かーごまー」などの訪問祝儀舞や神楽などが9の踊りと多くの民俗芸能が伝承されていました。
しかし、時代が昭和から平成、令和へと変わるこの数十年の間に保存活動が困難となり、多くの郷土芸能が途絶えつつあります。高齢化や少子化が、郷土の文化の伝承にも影響を及ぼしています。
特に、近年は新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、様々な行事が中止となり、神社等へ奉納される郷土芸能も実施できなかった地域が多くありました。
(町文化財保護審議会 濵脇 時則)
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