■経緯
令和3年4月1日に始動した伊仙町誌編纂事業は、引き続き編纂審議会と6つの部会が協議や現地調査を重ね、「自然史編」「民俗編」「通史編」の刊行計画が固まりつつあります。
本年3月末には「令和版伊仙町誌資料集(2)徳之島上国日記集」として藩政時代の島内3名の与人(島役人)と一般人による日記の現代語訳を発刊しました。
■編纂審議会と各部会のポイント
◆伊仙町誌編纂審議会
〇事務局が各集落で聞取り、記録している島口データと共に、それをどのように残し表現するかを民俗部会へ言語学の専門家を入れて「民俗編」を構成していく。
〇伊仙町民、出身者にとって大切な事柄を取りまとめ刊行すると同時に、これまでなかなか蓄積されなかった大切な基礎的調査データ集めを併せて行う。
〇博物館法でデジタルアーカイブ化が義務化されたのにともない、町誌の成果を本にまとめるだけでなく、伊仙町独自コンテンツを地域住民、学校教育で使っていく。
◆先史・原史時代部会
構成として「旧石器時代」「貝塚時代前期・後期」「グスク時代」「近世・近代」の時代区分に分け、他に墓制・人骨・動植物遺体・文献史から見た徳之島で構成する。
◆琉球王朝・薩摩藩時代部会
〇「徳之島町誌」の中に全島史、島間関係史としての扱いもあり、そこと伊仙町誌としての立ち位置を明確にする。
〇先史・原史時代部会の古代文献史、近現代部会の明治初頭、そして民俗部会の行政区分の変遷などデータ上連携した構成を行う。
〇令和版資料集(2)「徳之島上国日記集」からの幕末期の知見を本体へ反映する。
◆近現代部会
〇「明治時代~昭和前期」「第二次世界大戦~日本復帰」「日本復帰~1980年代」「1990年代~」の4時代に大きく分け、各時代の概要→年表→トピックで構成していく。
〇出来事は年表で詳細を表現し、本編は見開き2ページで各事柄を深堀りする。
◆自然史部会
構成案として「世界自然遺産推薦書より自然史を書く視点と枠組み・環境文化という新しい視座」「徳之島の成り立ち」「琉球石灰岩が織りなす地形と暮らし」「伊仙町の植物相と暮らし」「伊仙町の動物相」「伊仙の姿(各主要地点)」を検討する。
◆民俗部会
「総論」「社会組織」「集落の空間構造」「屋敷と民家の空間構造」「村落と家庭の年中行事」「葬制と墓制」「闘牛と畜産」「イノウの民俗」「昔話と伝説」「伊仙町に特徴的な島唄文化」で構成。
◆デジタルアーカイブ部会
〇島口の記録が地元から強く要望されており、「地域の記憶」として本事業内の島口データを残していく。
〇その意味では現在の小中学生の語りも地域の記録となる。
〇国立民族博物館が群島全体で作った「島唄タッチパネル」も元々あった映像データをどう使うかの議論。
〇町誌本体のデータをオープンにするのか、そこが決まれば学校現場への教材提供も展開可能。
■今後の予定
これまで多くの集落の方々にご協力いただき、集落の暮らしや成り立ち、地名(字名)や自然環境をよく知る方へ聞き取り調査を実施してきました。
令和6年には、資料集(1)「伊仙村史・町誌復刻版」に続き資料集(2)「徳之島上国日記集」を刊行し、その後資料集(3)「伊仙町広報誌縮刷版(昭和40年~)」を発刊予定です。続いて「自然史編」「通史編(上下)」「民俗編」を順次発刊予定です。同時に伊仙町歴史民俗資料館ホームページに動植物データや島口聞き取りデータなどを順次アップし、学校現場でも使える動画集にしていく予定です。
これまで行われてきた調査研究資料は、各集落に分けて町誌編纂室で集めておりますので、これまでの聞き取り内容と合わせて、全ての集落へ全情報をお渡しし、将来的な集落誌作成などにつなげていただきたいと考えています。
■現地調査及び令和版伊仙町誌資料集(2)発刊
〈5月〉
「自然史部会」堀委員現地調査(犬田布岬神社)
〈9月〉
「先史・原史時代」「琉球王朝・薩摩藩時代」「民俗」「自然史」部会合同現地調査
〈3月〉
「令和版伊仙町誌資料集(2)徳之島上国日記集」発刊
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