◆研修会の実施報告
今回は9月に実施した基幹相談支援センター主催の研修会2つについて報告します。
◇第1弾 みんなで考えるこころの不調・病気とそのケアについて
講演1では、大口病院の馬場冠治院長が「さまざまなこころの病気について~精神科を受診するときってどんなとき?」というテーマでお話をされました。
こころの不調や病気になる人が近年は増えていること、がん・脳卒中・心疾患・糖尿病に精神疾患が加わって、5大疾病といわれ社会的にも関心が高まってきていることが紹介されました。
しかし一方で精神医療の長い歴史の中で偏見が根強く残っており、気軽に話せない現状があること。またその結果早期治療につながりにくく、本人やその家族が孤独になりやすいこと。その他、さまざまなこころの病気の概要や薬の作用についての説明に加え、診断はその人が訴える症状だけでなく、その人の苦しさやその背景とこれまでの人生を知らないと判断できないことなどが述べられました。そしてそれを支えるためには困難を抱える人の話を丁寧に聞くこと、人とのつながりや本人が役割を持てることの大切さなどを話されました。
講演2では、「私の体験談~ピアサポートの視点から」というテーマで大口病院のデイケアでピアサポーターとして働く川畑良二さんが、これまでの自身の病気の経験と、それを活かして精神的に困難を抱えている人の支援者(ピアサポーター)となるまでの過程を「人とつながること、希望を持つこと、自分らしくあること、人生の意味を見出すこと、エンパワメント」という5つのキーワードを基に自身の葛藤を交えながら、経験者ならではの話をされました。
アンケートでは川畑さんの体験談への反響の言葉も多く、それに加え「精神科のイメージが変わった」、「精神疾患を身近に感じられた」、「もっと多くの人に知ってもらいたい」等の感想をいただきました。
◇第2弾 メンタルヘルスデー映画上映会プロジェクト2023
この企画は映画を通してメンタルヘルスについて身近に感じてもらうということを目的に去年から開催されているもので、今回も全国各地で行われました。
伊佐市では市役所菱刈庁舎の大会議室に26人が集まりオンライン映画鑑賞会を行いました。今年はイタリアで2008年に公開された「人生ここにあり!」という映画で、精神疾患を抱えた人たちが地域で暮らしていくことの現実や困難、そして希望について実話をもとに作られた映画でした。
上映後は各会場をオンラインでつなぎ、感想のシェアタイムが設けられました。映画を見て感じたことを共有することで、新たな気づきや理解を深められたのではないかと思います。
感想では「障がいがある人もない人もその人の尊厳を大切にすることを学びました」「心に疾患をわずらっている方々の社会的自立の大切さと難しさを改めて考えさせられました」といった言葉をいただきました。今後もこのような取り組みを通じて、誰もが安心して暮らせるまちづくりにつなげていけたらと考えています。
問い合わせ:伊佐市基幹相談支援センター(伊佐市役所福祉課内)
【電話】23-1317
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