◆今回はピアサポートについて紹介します
聞きなれない人もいるかもしれませんが、ピア(peer)とは「年齢・地位・能力などが同等の者・同僚・仲間」を意味します。
例えば同じ学校の生徒同士や同じ趣味の人同士など、くくり方次第で無限の「ピア」が存在します。「精神障がいのある人」というくくりもありますが、「精神保健福祉に関わる人」というくくりにすると、精神障がいのある本人だけでなく、家族、支援者やボランティアなども含めた人たちすべてがピアというくくりになります。
「サポート」という言葉を訳すと「支援・支える」となり、そこにピアがつくと「支え合い」となります。つまりピアサポートとは、「同様の経験をしている対等な仲間同士の支え合いの営みのすべて」となり「対等性」が鍵となります。
対等とは互いに優劣、上下など差がなく、安心していられる間柄というイメージでしょうか。
ピアサポートは、新しい理論や技術ではなく、誰もが体験したことのある身近なものです。精神医療福祉領域では、ピアスタッフやピアサポーターとしてピアサポートの価値を生かして働く人が増えてきています。
なぜ今「ピアサポート」という言葉が注目され必要とされるのか、それは多くの人が「生きにくさ」を感じているということではないでしょうか。「生きにくさ」の一つに「自分の経験(喜びや辛さ等)をありのままに語れない」ことがあります。ここ数年、多様性や共生社会が強調されてきているのもその裏返しではないでしょうか。ピアサポートをつなぐのは経験の語りです。そして日常の人と人が交わるさまざまな場面でピアサポートはたくさん転がっています。
例えば、友達とお茶をしたり、買い物に一緒に行ったり、愚痴をこぼしたい人の話を聞いてあげるとか、何かチャレンジをしようとしている人の背中を押したり、一緒に体験してみたりするとか。みなさんも実際に誰かと関わることで新たな発見があり、自分の視野や経験の幅が広がったといった体験はないでしょうか。
最後に「ヘルパー・セラピーの原則」(1965年にリースマンが提唱)というものがあります。「助けるものが最も癒される」という原則です。相手のために何かやってあげるということは、実は巡り巡って自分の自己肯定感につながる、あるいは達成感につながるという意味合いで考えられています。このように助ける助けられる関係は互いに影響し合い、そして時には入れ替わることもあります。
みなさんも日常にあるピアサポートを通じて、人との関係性やつながりについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ:伊佐市基幹相談支援センター(伊佐市役所福祉課内)
【電話】23-1317
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