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【特集】語り継ぐ~志布志淑女会~

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鹿児島県 志布志市

志布志淑女会は平成26年に設立した団体で、令和6年現在は12人の会員で活動しています。設立時、翌平成27年が戦後70年の節目の年であることから、戦前・戦中・戦後を生きた志布志の女性の暮らしを記録に残したいとの思いから設立されています。これまで、小・中学校での平和教育や戦争体験をまとめた本の出版、戦争を語る会の開催など活動しています。
今回は、志布志淑女会として、戦争を語り継ぐ会を開催し、1人でも多くの方に戦争がどんなものか伝えていきたいとの考えがあると聞き、事前に志布志淑女会の中で実際に戦争を経験されている3名の会員(本村多可子さん・田中郁子さん・柿並アスエさん)に当時の体験について取材しました。

―当時のことを教えてください。
本村:戦争から79年経ちます。不思議なものであの頃の記憶はよく覚えています。
柿並:私は当時から志布志に住んでいました。爆弾が家の裏山から横並びで流れていた光景は焼き付いています。
本村:私は霧島で戦争を経験しました。私も焼夷弾が雨のように降ってきたことは覚えています。
田中:私は都城で戦争を経験しています。すごい量の爆弾を落とされていました。ただ、不思議と当たらなかっただけという感じがします。
本村:戦後の苦しい生活は共通した思い出ではないかと思います。出兵していた方々も戻り、人口が急激に増え、食べ物は満足にありませんでした。
田中:しょっちゅうセリやノビルなどを摘みに行っていました。
本村:イタドリも食べていました。
柿並:農家でしたが、育てた米は供出していました。食事は芋中心です。
田中:チガヤも食べていました。
本村:椎の実も炒って食べると美味しかったですね。今は豊食の時代ですが、当時の経験から私は残しません。食べきれないときは持って帰っています。

―なぜ淑女会を立ち上げたのか。
本村:戦前・戦中・戦後の経験を伝えことが自分の「宿命」と思い背負い続けてきました。経験した者の生の声には力があると私は信じています。
柿並:私たちの思いは「台所から見た志布志の戦中戦後」に記していますので、是非、皆さんに読んでほしいです。
本村:戦争がいかに愚かなことか繰り返し、繰り返し伝え続けていきたい。
田中:学校などで直接体験を伝えることは効果があると感じています。継続した取組を続けていきたいです。

■2024年7月30日戦争を語り継ぐ会 開催
志布志淑女会は、少しでも早く、このような機会を設けたいと準備を重ね、戦後79年の節目よりも前に「戦争の記憶の継承」をテーマに、戦争を語り継ぐ会を開催しました。
会場となった志ふれあい交流館は、学生から90代の戦争経験者の方まで幅広い参加者で満員となりました。
会は2部制で行われ、まず戦争経験者、親から聞いた話について参加者から発表がありました。「母が学徒動員された」、「竹槍で訓練をしていた」、「サロンの参加者からガマで寝ていた経験を聞いたことがある」など経験談や聞いた話など、次々と報告がありました。
戦争経験者の田中保さんは、「中学生の頃は枇榔島で塹壕を掘ったり、野井倉飛行場の芝張りをしたりしていた。上級生は学徒動員で皆福岡へ。教室は空っぽだった。学校は勉強するところでなく労働の場だった。」と当時を回顧して語りました。
第2部では、どのような手段で今後戦争の記憶を継承していくかとのテーマで参加者がそれぞれの考えを述べました。参加者からは、「小学生や児童とともに平和の集いを開催している」、「命と平和のおはなし会を開催予定」、「戦争反対を呼びかける活動をしている」など、それぞれ取り組んでいる活動について紹介がありました。
その中で参加者から、戦争を経験した母が「私の青春は全て戦争だった」と言っていたとの報告があり、「二度とこんなことを言わせる世の中にしてはいけない」とし、今後取り組んでいくことについて参加者全員で考えました。

今後の方向性として、
・これまでそれぞれが行っている取組は継続していくこと
・子どもたちへの平和教育の充実
・1人の百歩より100人の一歩。1人でも多くの人に戦争の怖さを語り継いでいくこと
参加者一人ひとりが決意し、平和な世の中を守っていくことで散会となりました。
志布志淑女会は今後、市内の小中学生を対象に戦争を考える会を実施予定で、戦争を語り継ぐことを繰り返し続けていきます。

◆松山小学校で戦争体験を語り継ぐ
8月1日、松山小学校体育館にて、全校児童の参加の中、戦争体験講話が行われました。講師として志布志淑女会の会員7名が参加し、戦時中の生活の様子を紙芝居や防空頭巾を用いて紹介しました。
紙芝居では「戦争はぜったいにいけません」との強いメッセージを述べ、子どもたちに語り継ぎました。

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