■開聞岳の東西の海岸 ―川尻海岸と花瀬海岸―
開聞岳の東西の海岸では全国的にも珍しい火山地形を見ることができます。
その一つが開聞岳の東側に位置する川尻海岸です。川尻海岸は約4400年前、開聞岳の誕生に伴う噴火で溶岩が噴出し、長い年月の間に岩石が風化し、波によって浸食されたことでできました。この海岸にはオリビンと呼ばれるあめ色の鉱物が多く含まれています。オリビンは宝石名で「ペリドット」とも呼ばれ、8月の誕生石になっています。
川尻海岸は外海に面しているため、比重の小さい粒子は波でさらわれていき、その結果、比重の大きいオリビンが多く残りました。世界ではハワイのオリビン・サンドが有名ですが、日本でオリビンが採れるのは川尻海岸や小浜湾(福井県)が知られています。国内でも珍しい貴重な海岸と言えるでしょう。
そして、開聞岳の西側、花瀬から田崎にかけての海岸には県指定天然記念物「縄状玄武岩」が露出しています。これは紀元前500年ごろの開聞岳の噴火の際に流れ出た溶岩が冷え固まったものです。玄武岩はガラスの主成分でもある二酸化ケイ素の含有量が比較的少なく、流動性に富んでいます。そのため、溶岩として地表に流れ出る際に障害物があると、うねうねと曲がったり縄状にねじれたりしてユニークな自然地形を形成します。日本で見られる溶岩は桜島にあるようなゴツゴツとした溶岩がほとんどですが、花瀬海岸では沖へ向かってドロドロと流れ出た溶岩の様子を見ることができます。
川尻海岸のオリビンサンドと花瀬海岸の縄状玄武岩。火山と大地の活動を知ることができる貴重な海岸です。
問合せ:生涯学習課文化財係
【電話】23-5100
<この記事についてアンケートにご協力ください。>