■太陽のビタミン
◇今月のドクター
指宿医師会
川畑 史朗(かわばたしろう)
インドでは、インド人国民の40%がビタミンD不足だという注意喚起のコマーシャルがあるそうです。それは、IT王国のインドでは屋内での労働時間が増えたために、日光に当たる時間が減ったためだそうです。人種によって皮膚の色でビタミンDの体内合成が違うのも、ビタミンD不足が深刻な問題になっている一因でもあるのでしょう。そして日本でもビタミンD不足が問題になってきています。
ビタミンDは別名「太陽のビタミン」といわれ、日光や紫外線を浴びることで体内で合成される唯一の栄養素なのです。一番よく知られているビタミンDの効果は、骨や歯の材料となるカルシウムの吸収を助け、骨形成を促し、骨を丈夫にしてくれることです。筋肉の合成も促し、サルコペニアを予防します。
現代人はカルシウムが足りていませんとよくいわれますが、サプリメントでカルシウムを取る人もおり、病院では、さほどカルシウム製剤を処方することは実は少ないのです。カルシウムは食事から摂取することが一番だからです。
骨の形成を促すビタミンDが不足すると、骨粗しょう症、骨軟化症、子どもたちのくる病などが増えるのです。妊婦さんはビタミンDが不足すると早産や妊娠中毒症のリスクが高まり、赤ちゃんのビタミンD不足も引き起こします。
30年ほど前からでしょうか。日光浴が悪者にされてしまった気がします。オゾン層の破壊を伝える報道などで、有害な紫外線が増えていくと考えられたために、日光は悪者にされたのですね。日焼けしてシミやシワや皮膚がんが増えるなど日光浴に否定的な意見が多くなりました。
しかし、ビタミンDにはさまざまな病気の予防効果があると分かってきているのです。高血圧・結核・がん・歯周病・糖尿病・末梢(まっしょう)動脈疾患などを予防してくれることが分かってきました。免疫力を高めてインフルエンザ・風邪などの感染症も予防してくれます。心や神経のバランスを整えるセロトニンを調整し、メンタルバランスを保ってくれます。
ビタミンDが多い食品は、魚類とキノコ類です。食事にも気を付けましょう。
「太陽のビタミン」を十分に摂取するのに必要な日光に当たる時間はどれぐらいでしょうか?指宿に住んでいる皆さんは、北海道に住む方々よりも短い照射時間で良いそうです。夏ならば20~30分、しかし冬であれば1時間程度が必要だそうです。冬はより積極的に日光に当たりましょう。太陽の恵みを享受して、健康的な生活を送りましょう。
問合せ:指宿医師会
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