今村 聡(いまむらさとし)さん
梅雨の時期に入ると、大雨や長雨によって災害が起こりやすくなります。いつ起こるか分からない災害には日頃の備えが必要です。
今回は、気象予報士の資格を持ち、本市の防災に深い関わりのある、防災気象アドバイザーの思いに寄り添います。
■防災気象アドバイザーとして
子どもの頃から地球や宇宙に関することが好きだったと語るのは気象予報士であり、本市の防災気象アドバイザーを務める今村聡さん。「大学時代は地学について学び、卒業後は地学とは関係のない職に就いたが、30歳を機に大学で学んだ知識を活かしたいと思い、気象予報士を目指した」と言います。資格取得に向け勉強に励んだ今村さんは、難関とされている気象予報士試験に合格されたそうです。
鹿児島市で16年間気象キャスターを務め、その後本市に移住し、現在本市の防災気象アドバイザーとして災害対策本部を設置した際に、気象情報のアドバイスと災害リスク評価を行っています。
■薩摩川内の気候と今年の気象予報
「薩摩川内市は東シナ海に面しているので、風の影響を受けやすく、梅雨時期は南西風の影響で大雨になることが多い。冬は冷たく乾燥した季節風の影響を受けるため日本海側に近い気候になり、曇りの日が多い」と言います。
「現時点(5月2日現在)では、台風がまだ発生していないため、過去の統計から台風が日本に短い期間に多く来る可能性が高い。さらに、梅雨に入っても台風が発生しなければ、前線が同じ場所に停滞して長雨がより顕著になる恐れがある」と今後の気象予報を教えてくれました。
また、「近年は地球温暖化などを原因とした異常気象にも注意が必要」と言います。
■「命を守る」防災アドバイス
「まずは自助として、自身の『避難スイッチ』を決めておくことが大事。雨量が1時間に50ミリメートルを超えると非常に激しい雨とされており、例えば、自宅でコップなどを使用して雨量を計測し、10分で水深10ミリメートルを超える雨が降ったら避難するなどの客観的な目安を作っておくと良い」とのこと。さらに、「共助として、地域コミュニティの力を高めること。自治会へ加入し、地元の行事への参加などを通して『顔が見える関係性』を築くことができれば、災害時などに助け合うことができる。また、住んでいる場所によって災害リスクは異なるので、市が配布している『防災マップ』を見て、居住地域にどのようなリスクがあるのか事前に把握することも重要」と言います。
災害時に役立つ防災グッズで、今村さんがお勧めするものは「宇宙食」。保存食に比べ、保存期間は1・5~2年と短いが、保存食にはないチョコレートケーキやバニラアイスなどのデザートがあるため、避難時のストレス解消になるとのことです。
■未来に向けて
普段はテニスの試合や、宇宙に関する映画や動画を見るのが好きだという今村さん。
現在は川内川あらし協議会会長を務めており、川内川あらしの世界自然遺産登録に向けて活動しています。そこで「まずは皆さんにこのような活動を知ってもらいたい」と熱い思いを語ってくれました。
「人のとなりに」とは…
文字通り、その人の隣にいて、思いに寄り添うことや人柄を表す言葉「人となり」をイメージしたコーナーで、人物や活動の紹介だけでなく、その人の思いにスポットを当てることを目的としています。
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