中野(なかの)さおりさん
甑島で子どもたちに音楽の楽しさを伝える活動をしている「コシキンゴ」。
今回は、コシキンゴの代表で、甑島で音楽教諭として働く中野さんの音楽や子どもたちに対する思いに寄り添います。
■音楽との出会い
「小学生のときに、上級生が楽器を吹いているのに憧れて、吹奏楽を始めた」と話すのは、甑島で教師として働く傍ら、子どもたちに音楽の楽しさを伝える「コシキンゴ」の代表として活動する中野さおりさん。コシキンゴは広い視野で物事を考え、自分を磨き、本市に元気を与え貢献してくれる人材を育成するために市が開催している薩摩川内元気塾で主に活動しています。
グループ名である「コシキンゴ」の由来は、「こしきでするきんかん ごじゅうそう(甑でする 金管 五重奏)」の文字の最初をとったものだそうです。
中野さんは、「吹奏楽部に入部した当初、フルートなどの人気の楽器をやりたかったけど、希望は叶わず、金管楽器の1つであるホルンを担当することになった。しかし、このホルンとの出会いが、今も演奏を続けるきっかけとなった」と話します。
■甑島の子どもたちと一緒に
平成21年から甑島に赴任することになった中野さん。学校で音楽を教えていますが、甑島には吹奏楽部がなく、子どもたちは楽器に触れる機会が少ないと感じたそうです。そこで、甑島の子どもたちがもっと音楽を聴いたり、楽器に触れたりすることができる体験型のコンサートがしたいと思い、普段から交流があった金管楽器の奏者に、「甑島の子どもたちのために活動をしたい」と伝えると、快く賛同してくれたといいます。「メンバーは、霧島国際音楽祭で学び合った仲間や県内外で活躍している音楽家です」と教えてくれました。
■心を育てる活動
中野さんは、コシキンゴの活動を通して、「心を育てること」を心掛けているといいます。
「音楽は、子どもから大人まで、みんなが同じ場所で、楽しい時間を共有することができます。コンサートでは、初めて楽器に触れる人も、プロの演奏家と一緒に合奏できるし、リボンを振ってリズムに乗ることでコンサートに参加できます。音楽は、年齢、性別、文化の違い、障害の有無に関わらず、誰もが楽しめるのが魅力です。そのため、コンサートで使用する楽曲は、クラシック音楽の他に、誰もが知っている曲、思わず体が動くような曲を選ぶようにしています」と話します。また、親子で参加した方が、共通の話題ができ、コミュニケーションが増えたそうです。
「コンサートに参加した子どもたちが、それをきっかけに、楽器を始めたという声を聞いたとき、音楽の楽しさを伝えることができたと感じうれしい」と話します。
■一緒に笑顔
中野さんは、講師としても活動し、県内の学校にホルンの指導に行くこともあるといいます。「ホルンは金管楽器の中でも特に演奏するのが難しい楽器。自分が指導した後に、生徒たちが上手に演奏できたり、音楽が好きになったりすると、やりがいを感じる。また、子どもたちには、音楽を純粋に楽しんでほしい。そして、音楽を通して続けることの大切さも学んでほしい」と話します。
「座右の銘は『一緒に笑顔』。今後も誰かの心の支えになれるよう、音楽を続けていきたい。また、音楽の大切さ、楽しさをもっと伝えられるように頑張っていきたい」とこれからの目標を教えてくれました。
◇「人のとなりに」とは…
文字通り、その人の隣にいて、思いに寄り添うことや人柄を表す言葉「人となり」をイメージしたコーナーで、人物や活動の紹介だけでなく、その人の思いにスポットを当てることを目的としています。
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