「今回は、ごみの減量化と再資源化について考えます。」
生活する中で、どうしても出てしまう「ごみ」。今日1日で、あなたはどれだけのごみを出したか覚えていますか。
■霧島市のごみ事情
約12.5万人が暮らす霧島市の家庭や職場、店などから出るごみの量は、年間約4万2千トン。このうち約3万6千トンが可燃ごみで、全体の約9割を占めます。1人1日当たりのごみの量は919グラム(令和4年度)で、年々減量化傾向ではあるものの、全国平均を上回る状況が続いています(グラフ1)。
グラフ1)1人1日当たりのごみの量の全国と鹿児島県、霧島市との比較
■処分するにもお金がかかる
一般的に、私たちが出したごみはごみ収集所で回収され、それぞれの施設で処理されます。ごみを運搬して処理するまでにかかる費用は、年間約17億3千万円(令和4年度)。環境衛生課の末松正純(まさずみ)課長(54)は「ごみ処理費用に使える国や県の補助金はなく、ほとんどを市税などの一般財源で賄っています。処理費用を抑えつつ財源確保に努め、費用負担の公平化を図ることが今後の課題です。令和4年度は、市民の皆さまの協力により缶類、ペットボトルなどの売却益が約7200万円ありました」と話します。
■燃やせば温室効果ガス発生
市では現在、敷根清掃センターに可燃ごみを集め高温で溶かす処理をしています。この機械を稼働するには多くの電気と灯油を使用するため、同センターが排出する温室効果ガスは年間約2万3千トン-C02※。これは市の全ての公共施設が排出する温室効果ガスの半分に当たります。「燃やすごみの量を減らせば温室効果ガスの発生も減ります。地球温暖化対策や経費削減のためにも、ごみの減量化・再資源化を進める必要があります」と末松課長は呼び掛けます。
敷根清掃センターは供用開始から22年目を迎え、老朽化などにより不具合が起こることもしばしば。そこで将来にわたり安全で安定したごみ処理を行えるように、新たな施設・(仮称)霧島市クリーンセンターを建設中で、令和8年2月に完成予定です。新施設は民間事業者の経営能力や技術力を生かし、より効率的で効果的なごみ処理を行えるようになるため、温室効果ガスの発生抑制が見込まれます。
■ごみを減らすには
令和4年度に実施したごみの組成分類調査で、市内のごみの分別状況を調べました。家庭系可燃ごみとして出された資源物などは約1割で、前回(平成27年度)より分別が改善されていることが分かります(グラフ2)。一方、不燃ごみには可燃ごみと資源物がまだ約4割も含まれているという結果に(グラフ3)。末松課長は「可燃ごみの大部分を占める生ごみの水分率は約75%で前回からあまり変わっていません。引き続き分別と水切りの徹底を呼び掛けていきますが、そもそもごみが発生しない社会へと変えていくことが重要です。食品ロスの削減や循環経済(サーキュラーエコノミー)の取り組みも進めていきたい」と力を込めます。
※温室効果ガス排出量の単位。
グラフ2)ごみの組成調査結果
グラフ3)家庭系不燃ごみの主な内訳
《INTERVIEW》
▽いろいろな未来を育む施設に
川崎重工業(株)
環境プラント営業部技術営業課課長
河口 純子さん
「未来を育む森」をコンセプトに、豊かな自然と調和し開放的で、市民の皆さまに愛される施設を目指しています。焼却はより効率的に、そして省エネで行えるようになり、焼却時に出る熱を利用した発電能力は現在の施設の約2倍。施設内の電力が賄え、余った電力は売却する計画です。施設内には見学ルートを設け、環境やSDGsについて考え、体感できる施設にする予定です。
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