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自治体の皆さまへ

【特集】認知症になっても~私にできること~

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鹿児島県霧島市

■認知症を抱えている人もそうでない人も、みんなが幸せに生きるために必要なことは何でしょうか。

認知症を正しく理解してもらうために、市内ではさまざまな取り組みが行われています。
《温かく見守る応援者に》
「認知症にはどんなイメージを持ちますか。怖いとか、困った人だとか思うなら、そんなネガティブなイメージを変えたい」そう話すのは、デイサービスセンター今日館で働く傍ら、霧島市地域包括ケア・ライフサポートワーカーとして活動する中村有紀子さん(52)です。
専門の研修を受けた市内の介護事業所の職員が、地域包括ケア・ライフサポートワーカーとして、地域に密着した相談・生活支援体制の構築に取り組んでいます。その活動の一環として行っているのが認知症サポーター養成講座です。認知症サポーターといっても何か特別な事をするのではなく、認知症について偏見を持たず正しく理解し、温かく見守る応援者のことです。
「認知症は近い将来、65歳以上の約5人に1人がなるという予測もあるぐらい身近なもの。ただ、認知症という言葉を知っていても、中身はよく分かってない人も多いです。認知症と診断されても感情はあるし、大事なことや昔のことは覚えているんですよ」と話す中村さん。認知症への偏見をなくそうと、講師を務める仲間たちと試行錯誤を続けています。「最近は、認知症になった本人を講座に連れて行くこともあります。小学校で開いたときは、昔話をしたり、得意のハーモニカを吹いたりして子どもたちと交流しました。実際に関わり合うことで、認知症に対するイメージは大きく変わりますよ」と中村さんはほほ笑みます。
「一番困っているのは本人。周りのちょっとした手助けや声かけで、住み慣れた地域で暮らしていける人もいます。まずは認知症について正しく理解してほしい。そして自分事として考える人が増えたら、もっと優しいまちになると思います」

《メモリーカフェで認知症を身近に》
市内の介護事業所などで開催されている「メモリーカフェ(認知症カフェ)」。そこは認知症の人や家族、地域住民など誰もが気軽に集い、認知症について学んだり自由に語り合ったりできる場所です。
国分福島で「メモリーかふぇCOTTON(コットン)」を主催する玉城一代さん(53)は「カフェってお友達とおしゃべりを楽しんだり、悩みを語りあったり自由に過ごす場所ですよね。メモリーカフェも同じです」と話します。
小規模多機能ホームの運営もしている玉城さんは、認知症を抱える人や家族を介護事業者としても支えています。「誰もが介護されることを受け入れているわけではありません。私がカフェを開くきっかけになった人もそう。まだ自分には介護は必要ないと支援を拒み、社会との交流が希薄になっていた人が、要介護者ではない『自分』として過ごせる場所が、メモリーカフェだったんです」とメモリーカフェを始めたきっかけを振り返ります。
「できなくなることへの不安や恐怖心から当事者も家族も悩み、笑顔が減ってしまう。メモリーカフェは、認知症の人もそうでない人も安心してもらえる場所でありたい。一般的なカフェと違う点は、認知症を正しく理解している人のさりげないサポートがあるところですかね」と話す玉城さん。そんなメモリーカフェはサポートの連携を図れる場所でもあると言います。「カフェに来たことをきっかけに、医療につながったケースもあります。認知症について抱え込んでしまう人が、一人でも減ったらうれしいですね。いろんな人にカフェに来てもらって、みんなに笑顔になってもらいたい」

玉城さんの主催するメモリーカフェに、毎回参加しているという人に話を聞いてみると「カフェは楽しい所だよ。世間話をしたり、歌を歌ったりね。いつも楽しみにしているよ」と笑顔を見せました。
認知症になっても、あなたも、私も、自分であることに変わりありません。みんなが希望を持って暮らすことができるように、まずは知ることから始めてみませんか。

[NTERVIEW]みんなが笑顔に
国分中央高校1年 窪田結衣さん
中学3年生の時に、認知症サポーター養成講座を受けました。講座には認知症の人も来ていて、小さい頃の話をうれしそうに話していたのを覚えています。私たちにも優しく話しかけてくれて、みんな笑顔になりました。テレビなどで見る認知症は、忘れている所だけを切り取られているように思います。講座を受けたことで、認知症の人とも気を張らずに話せそうです。

■認知症への理解を深めよう
□認知症サポーター養成講座
認知症の専門知識を持つキャラバンメイトが講師として市内各地へ出向き、講座を行います。学校や地域、職場での研修など、ぜひ活用ください。

問合せ:市地域包括支援センター
【電話】48-7979

□メモリーカフェ(認知症カフェ)
市内の4カ所で開催しています。参加を希望する人は、各カフェに問い合わせください。

□理解を深めるパネル展・出張メモリーカフェ「めだかカフェ」
9月の認知症月間に合わせて、認知症に関するパネル展示と出張メモリーカフェを開催します。
期間:9月18日(水)~26日(木)
※9月20日(金)午前11時~午後1時まで出張メモリーカフェがあります。予約不要でどなたでも参加できます。
場所:国分シビックセンター1階共通ロビー、エントランスホール

問合せ:長寿介護課
【電話】64-0704

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