■技がさえわたる等身大の大黒天
新照院町出身の新納は、日本全国の神仏像を修復した彫刻家として知られています。新納は今年で没後70年を数え、当館も設立70周年であることから不思議な縁を感じます。
本作は、福岡の観世音寺(かんぜおんじ)にある大黒天像を修復したときに、原像を木彫で模したもので、縁あって郷里の当館に収蔵されています。
原像は日本最古かつ最大の大黒天像で、国の重要文化財に指定されています。元は悪を懲らしめる怖い顔の大黒天が、やがておなじみの笑顔の好々爺(こうこうや)のイメージへと変化していく過渡期の表情が興味深いところです。また、大黒から「大国」が連想され、大国主命(おおくにぬしのみこと)という神のイメージも加えられ、神仏双方の要素を兼ね備えている両義的な存在と考えられています。
5月6日(振休)まで開催する「春の所蔵品展」で展示しています。商売繁盛などのご利益があるとされる大黒天。多くの来館者で当館がにぎわうことを期待しています。
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