健康 [釧路歯科医師会監修]口がポカンと開いていませんか?

「口ポカン」とは、口が常に開いている状態を指します。これは、口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)とも呼ばれ、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。
「口ポカン」は、特に子どもに多く見られる状態です。日本の3~12歳の子どもを対象に行った調査によると、約30%の子どもが「口ポカン」の症状を持っていることが分かっています。年齢が上がるにつれてその割合は増加し、12歳の時点では約40%に達することもあります。
この状態は、口呼吸や口周りの筋力不足、歯並びの問題などが原因で発生します。早期に対策を講じることで、健康な口腔機能の発達を促進することが重要です。
もしお子さんに「口ポカン」の症状が見られる場合は、専門の歯科医に相談することをお薦めします。早期の対応が、子どもの健康な成長につながります。

■口ポカンの主な原因
▽口呼吸
鼻詰まりやアレルギー性鼻炎などで鼻呼吸ができず、口呼吸が習慣化している場合。

▽口周りの筋力不足
口を閉じる筋肉が未発達であるため、口が開いたままになることがあります。

▽舌の位置の問題
舌が正しい位置にない場合、口が開きやすくなります。

▽歯並びの問題
出っ歯や受け口など、歯並びの問題がある場合、口が閉じにくくなります。

■口ポカンの改善方法
▽口腔筋機能療法(MFT)
口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行います。

▽矯正治療
歯並びの問題がある場合、矯正治療を行います。

▽鼻呼吸の習慣化
意識的に鼻呼吸をするように心掛け、必要に応じて鼻呼吸テープなどを使用します。

▽舌の位置の改善
舌を正しい位置に保つためのトレーニングを行います。

・MFTは自分でもできます

■口腔筋機能療法(MFT)とは
舌や口周りの筋肉を鍛えることで、歯並びや噛み合わせ、発音、呼吸などの機能を改善するトレーニングです。

▽正しい咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)の習得
食べ物を正しく噛んで飲み込むための筋肉を鍛えます。

▽発音の向上
舌や口周りの筋肉を鍛えることで、発音が明瞭になります。

▽口唇や舌の位置の正常化
舌の位置を正しくすることで、歯並びや噛み合わせが改善されます。

▽舌癖(ぜつへき)や口呼吸の改善
舌癖や口呼吸を改善することで、口腔内の健康を保ちます。

■MFTの効果
MFTを正しく行うことにより、口周りの筋肉のバランスが整い、歯並びや噛み合わせが改善されます。
また、舌の位置を正しくすることで、呼吸や咀嚼が正常になります。さらには、正しい舌の動かし方を習得することで、発音が明瞭になります。口ポカンの原因である口呼吸を改善し、鼻呼吸を習得することで、口腔内の乾燥を軽減し、口臭の改善や口腔内の健康を守ることができると考えられます。
MFTは、歯科医師の指導のもとで行うことをお薦めします。継続してトレーニングを行うことで、効果が期待できます。

■MFTのトレーニング方法
◇スポットポジション
舌を正しい位置に戻すトレーニングです。舌の先を上の前歯の裏にある膨らんだ部分につけて、5秒数えます。

◇ティップ
舌先の力をつけるトレーニングです。舌を尖らせた状態でスティックを押し、3秒キープします。
用意するもの:アイスの棒のようなスティック

◇スラープ・スワロー
飲み込む動作のトレーニングです。舌の先を上の前歯の裏にある膨らんだ部分につけて上顎に吸い上げるようにします。
※歯科医師の指導のもとで行う訓練です。
用意するもの:
・ストロー
・スプレー

◇ポッピング
舌全体を持ち上げるトレーニングです。舌を上顎に吸いつけ、口を大きく開けて「ポン」と音を鳴らします。

◇あいうべ体操
舌や唇、口周りの筋肉を引き締めるトレーニングです。「あ・い・う・べ」の言葉を1秒ずつ声に出して行います。

「あ」
口を大きく開けて「アー」と発声します。舌の先を下の前歯の裏につけるようにします。5秒間キープします。

「い」
口を横に広げて「イー」と発声します。口角をしっかりと引き上げるようにします。5秒間キープします。

「う」
唇を前に突き出して「ウー」と発声します。唇の周りの筋肉を意識して行います。5秒間キープします。

「べ」
舌を思いっきり前に出して「ベー」と発声します。舌の先を見せるようにします。5秒間キープします。


(ポイント)
この一連の動作を1セットとして、1日に5セット行うことが推奨されています。特に食後や就寝前に行うと効果的です。

▽あいうべ体操の効果
口呼吸の改善…鼻呼吸がしやすくなります。
発音の向上…口周りの筋肉が鍛えられ、明瞭な発音が可能になります。
歯並びの改善…舌の位置や動きが正常化し、歯並びに影響を与えます。
唾液の分泌促進…唾液の分泌が増え、口腔内の乾燥を防ぎます。

・この体操を続けることで、口腔内の健康が維持され、さまざまな効果が期待できます。楽しみながら続けてみてくださいね。

※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。

問合先:市役所健康推進課
【電話】31-4525