くらし 特集 冬のくらしを支える使命「名寄の除雪最前線」

朝が当たり前に迎えられるのは、まだ暗い時間から雪と向き合う人たちがいるからです。名寄の冬は今も多くの雪が降り積もり、除雪の現場が暮らしや地域の機能を支えています。深夜から明け方まで続く作業と、地域の支え合いが、私たちの安心な日常を守っています。

白く染まる朝、学校へ向かう、仕事へ出かける―。
この日常が続いているのは、まだ暗い時間から除雪にあたる人たちがいるからです。除雪は、私たちの暮らし、地域経済や医療・教育など、まちの機能そのものを守ています。

■深夜から明け方まで続く過酷な現場
年々、積雪量は少しずつ減て来ているといわれていますが、それでも名寄には多くの雪が降り積もります。降れば積もり、積もれば動く―。
それをくり返す冬の中で、除雪オペレタの皆さんは天候や雪質を読みながら、機械を操り、安全に作業を進めています。作業は深夜から明け方に行われ、私たちが気づかないところで長い時間をかけて進められています。
真暗な中で雪が降り続く日も、風が強く視界の悪い日もあります。それでも、子どもたちが無事に学校へ行き、私たちが安心して暮らせるようにと、日々現場に向き合い続けています。

■地域で守る冬の暮らし
除雪に関わる多くの人々の力と、地域で支え合う仕組みによて、名寄の冬の暮らしは成り立ています。オペレタの技術や判断、道路管理に携わる人たちの連携、そして地域住民の協力。その一つひとつが積み重なり、まち全体の安心をつくり上げています。市は、ずと安全で安心な冬の生活環境を守るため、地域とともに取り組みを進めていきます。
今月の特集では、名寄の除雪を支える人々の姿と、その仕事の舞台裏に迫ります。

◆-VOICE- 現場の声
○誰よりも早く動き、朝に間に合わせる
出動の連絡は深夜0~1時半頃に入ることが多く、雪が降りそうな日は、呼ばれてすぐに動けるよう心の準備をして休みます。現場には必要な道具がそろっているため、暖かい服装で向かうことが基本です。私が扱うドーザは街中の狭い道にも入れる機械で、路面の高さを見極めながら雪を削ります。厚く雪を残すと、気温が上がったときに路面がザクザクになり走りにくくなるため、後の状態を想像しながら丁寧に作業します。湿った雪の日は塊ができやすく、家屋や車に当てないよう慎重な操作が必要です。深夜は新聞配達なども動いており、特に除雪車の後方は見えづらいため、距離を取っていただけると安心です。何事もない朝を迎えられることは、夜間の作業が確かに役に立っている証だと思います。これからも、皆さんが安心して動ける朝に向けて、安全に作業を続けていきたいです。
有限会社吉田工業 松下航大さん

○深夜パトロールで除雪の精度をあげる
出動を決めるため、深夜のパトロールで市内を巡回し、積雪状況を自分の目で確認します。天気予報だけでは判断できないため、この工程で除雪全体の精度があがります。担当するのはドーザ。まず生活道路を確保することが最優先です。どこまで整えるかを考えながら走行し、限られた時間で最大限効果が出るよう心がけています。新雪の場合、まず通行ラインをつくることで、次の作業がスムーズになります。作業の大きな課題は路上駐車。車両が残されたままだと近づけず、その部分だけ雪が寄せられないため、結果として道路幅が狭く残ってしまいます。遠回りせざるを得ないケースも多く、除雪にかかる時間が増え、ほかの道に入る順番にも影響します。除雪を円滑に進めるために、できる限り路上駐車は避けていただけると助かります。今季も事故なく、確実な判断で市民生活を支えていきたいと思います。
風連環境保全事業協同組合 川田章雄さん

月別除雪回数 令和6年11月~令和7年3月

■雪と闘う、一夜の仕事 ―除雪が完了するまで―
・適時 チェック
天気予報や日中の降雪状況を確認します。

・24:00 パトロール
市内全体をパトロールして除雪出動の判断をします。
概ね10cmの降雪や吹き溜まりがあった場合出動します。

・2:00 除雪開始
かき分け除雪
道路に降った雪を除雪車でかき分けて、車道幅員を確保する方法です。

・8:00 除雪終了
登校が始まるまでに通学路の除雪を終え、8:00には全て終了するようにしています。

◆除雪ではたらく車
○除雪トラック
除雪をするための専用トラック。雪は基本進行方向の左側に堆積します。

○除雪ドーザ
狭い道路や交差点などの除雪。通称「ショベル」・「ドーザ」。基本は両側にかき分けて除雪しますが、片側に寄せたり集めることもできます。

○除雪グレーダー
路面を削る専門の除雪車です。除雪ドーザと一緒に作業します。ブレードは左右どちらでも向けられ、進行方向と直角にかき分けることもできます。

■助け合いで守る冬のくらし
地域の方々による「除雪ボランテア」も、市民の暮らしを支える大切な力です。
高齢者世帯の玄関先や通学路の確保、除雪車が入りにくい細い道の雪かきなど、きめ細かな活動によて冬の安全が支えられています。実際に伺たお宅では「助かた」「心強い」といた感謝の声が寄せられ、作業を通して住民同士が顔を合わせ、つながりを深める機会になっています。

○名寄の除排雪のギモン
Q 名寄って雪が降るほう?
A 積雪で最大90cm・降雪で最大700cmの雪が降り、道内でも多く雪の降る地域です。
しかし、近年では積雪・降雪ともに少なくなっており、極端な大雪や小雪といった異常気象が多くなっています。

Q どれくらい降ったら除雪するの?
A 連続した降雪で道路の積雪が10cmになったときに除雪します。
その他、気象情報や路面状況などを見ながら除雪の判断をしています。

Q 除雪っていつやってるの?
A 午前0時頃から市内をパトロールし、朝2時頃までに出動します。通勤・通学に支障がでない朝8時までには終えられるよう夜中の作業としています。

Q 排雪される時期や回数が違うのはどうして?
A 排雪は車道幅員の確保、または安全性が確保できないと判断した際に出動するため、天候によって出動時期が異なります。また、幹線道路は年2~3回、生活道路は年1回の排雪となるため、路線によって回数が異なります。

Q 溜まった雪はどこに捨てればいいの?
A 自ら排雪していただける場合に無料で利用可能な雪堆積場を用意しています。雪堆積場は10カ所確保しておりますが、名寄市内では3カ所を利用できます。事故などに気をつけてご利用ください。
・名寄市指定雪堆積場(名寄大橋下流)
・西16南9雪堆積場
・風連雪堆積場

■歩道除雪車で守る安全な通学路
歩道の除雪は、冬の安全な移動を支える重要な作業です。
歩道除雪車を使い、通学路や主要施設へ向かう道を中心に、歩行者が安心して通れる環境を整えています。狭い歩道でも機動力を発揮し、凍結や吹きだまりを除去することで転倒事故の防止にもつながります。早朝や降雪時の迅速な対応により、日常生活を支える「歩く道」の安全を確保しています。

■除雪の情報は市ホームページへ
○除排雪の助成
(1)排雪ダンプ助成
住宅の排雪作業を行う場合の雪を運ぶダンプにかかる費用の一部を助成します。
(2)除雪助成
道路除雪後の間口除雪費用の一部を助成
(3)屋根雪おろし助成
自宅や車庫などの雪おろし費用の一部を助成
※助成を受けるには条件があります。
詳しくは広報なよろ月号折り込みを確認してください。