- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道森町
- 広報紙名 : 広報もりまち No.251 令和8年2月1日号
■森桟橋の逸話
JR森駅の近くから函館方面を見ると、海中から伸びる大きな石塔が目に留まります。この場所には、かつて森桟橋が建てられていました。
森桟橋は、札幌本道唯一の海路として整備された森-室蘭の出入り口として建設され、明治5(1872)年に着工し、翌明治6(1873)年に完成しました。材木には当時町内に多く自生していた栗や楢の木が使われていましたが、海水や風雨により腐りやすく、その対策に皆が困り果てていました。そこへ、一人の男性が通りかかります。その男性は、「杭にテール(松の木からとれる油)を塗れば腐ることはないが、この場所にテールはない。鷲ノ木村では石油が取れるので、テールの代わりに塗れば杭が腐ることはなくなる」と言い、採油地まで案内したそうです。
この男性の正体は、旧幕府軍総帥であった榎本武揚だったと言われています。箱館戦争終結後、投獄されていた榎本が釈放され再び北海道を訪れた際に森町を通りかかり、助言を残したという逸話です。
森桟橋の完成により多くの旅行客が訪れ、町は賑わいをみせるようになりましたが、函館市と青森県を結ぶ定期航路が室蘭市まで延長され、明治26(1893)年に森町の航路は廃止されます。明治41(1908)年に一度復興し、再度の盛り上がりをみせましたが、利用者の減少により昭和3(1928)年にその役目を終えました。
廃止後も桟橋は取り壊されることはありませんでしたが、だんだん朽ち果てていき、今では杭が残るのみです。普段は海中に沈んでいますが、干潮の時にはその姿を見ることができます。
