- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道奥尻町
- 広報紙名 : 広報おくしり 2025年12月号
■離婚後の子の養育に関する民法等改正の改正前離婚等への影響
前回の広報では、令和8年5月までにスタートする離婚後の子の養育に関する民法等改正について、その概要をお伝えしました。
今回は、本改正がこれまでにした離婚等の手続きにどのような影響をもたらすのかということについてお伝えしたいと思います。
まず本改正前に離婚をし、その際子どもの親権を単独親権と定めた場合、本改正により自動的に共同親権に変更されることはありません。もっとも、本改正後に、家庭裁判所が、子ども自身やその親族の申立てに基づいて、子どもの利益のための必要性を踏まえて、単独親権から共同親権に変更する場合があります。必要性を判断するには離婚後の事情を考慮することになると思われます。なお、虐待やDVのおそれがあるときや父母が共同して親権を行使することが困難であるような場合は、共同親権への変更は認められないようです。
また前回、養育費の取決めがない場合でも支払確保を可能にするための制度として法定養育費制度を紹介しました。これにより、養育費の取決めがなくとも離婚後引き続き子の監護を主として行う父母は、他方に対して一定額の養育費請求をすることができます。
法定養育費制度は、本改正により生まれた制度になります。ですので、法定養育費制度が適用されるのは、本改正より後に離婚をしたケースのみとなります。本改正前に離婚をした場合について養育費の支払いを求めるためには、父母間の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決める必要があります。
今後、特に単独親権から共同親権に変更することが認められるケースにはどのようなものがあるのか裁判例等の集積を待つことになると思われます。
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(法テラス江差 弁護士 樋口 直久)
