健康 けんこうだより

■今月のテーマ/座りすぎを減らしましょう
筆者:保健師 南保実里

家でのテレビ視聴、デスクワーク、読書など、私たちの生活には「座る時間」が溢れています。しかし、近年では「座りすぎ」が喫煙や飲酒と同じように、健康に大きなリスクをもたらすことがわかってきました。
今回は、健康リスクや今日からすぐに始められる対策についてお伝えします。

▽なぜ座りすぎが良くないのか
代謝の低下:体の筋肉の約70%は下半身に集中しています。座りっぱなしだと太ももやふくらはぎの筋肉が動かないため、糖や脂質の代謝が急激に落ちます。
血流の悪化:「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎが働かないため、血流が滞ります。これが冷え、むくみ、さらには血管トラブルの原因となります。
死亡リスクの上昇:1日11時間以上座る人は、4時間未満の人に比べて死亡リスクが40%も高まるというデータも報告されています。

▽今日から実践!「座りすぎ」を防ぐ習慣
大切なのは、運動の時間を作るだけでなく、「座り続ける時間を細かく区切る」ことです。

1.「30分に1回」は立ち上がる
タイマーを活用:テレビを見る時はCMごとに立つ、デスクワークなら30分に1回、難しくても1時間に1回は立ち上がる習慣をつくりましょう。
「立ち上がって数歩歩く」だけ:激しい運動は不要です。一度立ち上がって、お茶を取りに行ったり、窓の外を見たりするだけで筋肉のスイッチが入ります。

2.生活の中に「立ち仕事」を混ぜる
電話は立って:スマホや電話で話す時は、室内を歩きながら、または立ったまま話すようにしましょう。
読書や作業:キッチンカウンターや棚の上を利用して、数分間だけ「立ち読書」や「立ち作業」をするのも効果的です。

3.「ついで」の筋力トレーニング
立っている時間を有効活用しましょう。
かかとの上げ下げ:歯磨き中や電子レンジの加熱を待つ間、かかとを20回ほど上げ下げしましょう。ふくらはぎのポンプ機能が働き、血流が改善します。
膝の伸ばし:どうしても座り続けなければならない時は、椅子に座ったまま片足ずつ膝をピンと伸ばし、5秒キープ。これだけでも太ももの筋肉を刺激できます。

「座りすぎ」を防ぐことは、今すぐに始められる最も手軽な健康法です。まずはこの健康だよりを読み終えた今、一度立ち上がって大きく背伸びをしてみませんか?その一歩が、将来のあなたの健康を守ります。
参照:
・厚生労働省e-ヘルスネット「座位行動」
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
・Van der Ploeg, et al Sitting Time and All-Cause Mortality Risk in 222 497 Australian Adults. Arch Intern Med.2012;172(6):494-500