- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道由仁町
- 広報紙名 : 広報ゆに 2025年6月号
■治療のお話 漢方薬でどんな治療をしていると思いますか?(前編)
医師 小端順一
ある方が、数年前に新型コロナウイルスワクチンを接種してから言葉が出づらくなり、右足の動きも悪くなりました。2か所の脳神経外科病院に入院後、大学病院に紹介入院となり、いろいろ検査をしたが結局病名は分からず、一応脳血管障害という病名がつきました。出された薬はバイアスピリンという薬でしたが、飲んでいても症状の改善はありません。そのため、飲むのをやめてしまいました。バイアスピリンは血をサラサラにする薬で、出てしまった症状をなおす薬ではありません。この方には漢方薬の煎じ薬を出しました。この漢方は脳梗塞で言葉が不自由になったり、手足が動かしづらくなったときに使う薬です。これを飲んでいると右足の動きが少しよくなり、周りの人からも言葉がはっきりしてきたと言われました。薬は母親が煎じるのですが、あまった薬を母親も飲んでいたそうです。母親は数年前に胸部の大血管の手術をしており、手術は成功したものの術後から夜になると息苦しさが出はじめました。このことを主治医に伝えても、薬は出ませんでした。ところが煎じ薬を飲んだその夜から息苦しさがなくなったと私に話してくれ、今も飲んでいます。
子供は脳血管障害、母親は術後の息苦しさですが、脳血管障害用に出した薬が息苦しさにも効くなんて不思議とは思いませんか。
実は、漢方には異病同治(いびょうどうち)という異なる病気でも同じ薬で治療する方法と、逆の同どうびょういち病異治という同じ病気でも患者を診察して異なる薬で治療する方法があります。先ほどの親子の場合は、異病同治になります。
このように、さんざん検査され薬も出たけれど、効果が今ひとつという場合には漢方薬を使います。
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