子育て [いっしょにね]中川町認定こども園 中川町幼児センター No.12

中川町幼児センター 副センター長 平川久美

子どもたちが元気に遊ぶ日々が続いています。日に日に肌の色もこんがりと日焼けしてきて、夏らしい姿になってきました。ただ、連日猛暑が続いた際には、子どもたちの体調を第一に考え、活動内容や時間帯を工夫しています。
また、地域の方々のご厚意で、お散歩中には“ミニトマト狩り”や“いちご狩り”を体験させていただき、美味しく楽しい水分補給の時間を持つことができています。暑さが厳しい日には、室内での活動も取り入れながら、子どもたちが無理なく過ごせるよう配慮しています。
今回は、そんな室内活動の一つとして行った「段ボールのお家作り」の様子をご紹介します。たくさんの段ボールを用意し、保育者から「これを使ってお家を作ります」と説明があると、すぐに子どもたちは目を輝かせて取り組み始めました。すると、使いたい気持ちが先走って、まだ使うかどうかも決まっていない段ボールを一人で抱え込もうとする子の姿と、それを見て「自分の分がなくなるかも」と焦る子もいて、小さな衝突が起きてしまいました。保育者が間に入り、声をかけることで子どもたちは気づきを得て、少しずつ「どうしたらうまくいくのか」を考え始めました。いざ作り始めると、次は「どんな家にする?」「家具はどうする?」と、意見を出し合う段階に入ります。自分の考えを強く主張するあまり、なかなか作業が進まないグループもあれば、お互いの気持ちに耳を傾け、共感しながら進めていくグループもありました。
この活動を通して、子どもたちは実に多くのことを経験し、学びました。自分の思いどおりにならなかった時の悔しさ、相手に共感できたときの喜び、我慢ではなく“折り合いをつける”ことの大切さ。遊びの中で味わうこれらの感情は、心の成長にとって何より大切なものです。夢中になって活動する時間は、子どもたちにとってかけがえのない学びの時間でもあります。夢中になっている間は幸福感が高まり、意欲的に行動することができます。そして、そうした心が動く経験の中で、初めて「本当にやりたいこと」に出会っていくのだと、私たちもあらためて感じました。
段ボールのお家作りはまだまだ続きますが、子どもたちの想いが詰まった素敵なお家になることは間違いありません。これからもそっと見守りながら、その完成を楽しみにしたいと思います。