- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道利尻富士町
- 広報紙名 : 広報りしり富士 令和7年10月号
■積丹半島沖地震/利尻島にもたらされた津波被害
近年、大きな地震による津波の発生は、7月に起きたカムチャツカ半島地震でも記憶に新しいですね。利尻島は津波の影響をあまり受けない土地ですが、今から85年前の昭和15年(1940年)に発生した積丹半島沖地震では、遠く離れた場所で起きたにもかかわらず、津波が到達し甚大な被害がありました。
当時の様子は、鬼脇警察分署の「沿革誌」に詳細に記録されています。地震発生について「8月2日午前0時15分頃約1分間水平動の強震あり」、津波について「午前3時頃高さ約7尺(2m強)の海嘯(津波)あり」と書かれ、津波は約30分間続いたとされています。
この津波は島全体で300隻近くの漁船を流失・破損させました。特に被害が大きかったのは、鬼脇、仙法志、沓形の各村です。当時の漁船の被害状況は以下の通りです。

また当時、本泊に在住していた鈴木憲三さんの日記にも、この大地震のことが克明に記されています。利尻ではかつて経験したことのないほどの強い揺れで、本泊でも磯舟やホコなどが流される被害があったとのこと。
この津波は天塩と宗谷で最もひどい被害をもたらし、天塩では死者10名が出たほか、流失した材木は1万5千石にものぼりました。掲載している写真は、その天塩川河口の被害を物語っています。
こうした遠方で発生した地震でも、時に津波が押し寄せ被害をもたらすことがあります。歴史の教訓として、日頃から防災意識を持つことがとても大切です。
この写真(本紙)は、天塩町教育委員会のご厚意により提供されたものです(土田甲太郎さん・有田あい子さん旧蔵)。鈴木憲三さんの日記は鈴木祐尚さんから情報提供いただきました。残念ながら、利尻島の津波被害を捉えた当時の写真は手元にありません。もし当時の津波被害の写真をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。
教育委員会 山谷【電話】82-1370
