- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道佐呂間町
- 広報紙名 : 広報サロマ 令和7年6月号
■「いつの間にか骨折!?骨粗しょう症にご注意を」
◇骨粗しょう症って?
骨粗しょう症とは、骨の中がスカスカになって、もろくなってしまう病気です。骨は常に「形成」と「破壊」が繰り返されていますが、骨粗しょう症ではこのバランスが崩れ、骨折のリスクが高くなった状態のことをいいます。
骨粗しょう症になると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをしたなどのわずかな衝撃で骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、背骨、手首の骨、太ももの付け根、腕の付け根の骨などです。
◇なぜ骨がもろくなるの?
骨がもろくなる原因は大きく分けて5つあります。
(1)加齢
骨密度は男女ともに幼少期から増え続けて20歳頃に最大となり、以降30年間変わりません。50歳以降になると、1歳ごとに約1%の割合で骨のカルシウムが減少していきます。
(2)閉経
(1)に加えて、女性の場合は閉経により50歳前後からエストロゲン※の分泌が減少しはじめます。これによって50歳〜60歳の間に骨のカルシウムが10〜20%減少し、骨折のリスクが上昇します。
※骨を作る細胞(骨芽細胞)の活動を促し、骨を壊す細胞(破骨細胞)の活動を抑制する働きがあるホルモン
(3)生活習慣
食事の偏り、喫煙、過度な飲酒なども骨折のリスクを高めます。また、若いころの極端なダイエットや運動不足なども骨がもろくなる原因となります。
(4)病気
持病が原因で骨粗しょう症を起こす場合もあります。例えば糖尿病ではインスリンの働きが悪くなりますが、インスリンは骨を作る骨芽細胞の働きを促すため、骨づくりに影響がでます。また、腎臓病になると、カルシウムを体内に取り込むときに欠かせないビタミンDの働きが低下し、骨を形成しづらくなります。
(5)薬
ステロイド薬は、炎症をおさえるために免疫の作用を低下させます。一方で、ステロイドは骨を作る骨芽細胞の働きを抑え、逆に骨を壊す破骨細胞の働きを強めるという効果もあるため、骨がもろくなる一因になります。
◇骨粗しょう症を予防するためには?
▽骨の主成分となるカルシウムをとる
カルシウムは骨を構成する大事な栄養素です。また、カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンの分泌増加によって骨の分解が進み、骨密度が低下します。
令和3年に実施した町の健康・栄養調査の結果では、特に働き世代のカルシウム摂取量が不足していることがわかりました。(下記グラフ参照)
カルシウムが多く含まれる食品は下記の表のとおりです。牛乳やチーズなど調理しなくても手軽にとれる食品をプラスするなど、無理なく取り入れていきましょう。
また、骨量の維持には十分なカルシウム摂取が必要ですが、カルシウムは体に吸収されづらい栄養素です。吸収を高める栄養素と上手に組み合わせてとる必要があります。
1日の推奨量
女性(50〜74歳):650mg
(75歳以上):600mg
男性(50歳以上):750mg
▽カルシウムの吸収を助けるビタミンD
ビタミンDは食事からとったカルシウムの吸収を促し、骨に取り込まれやすくなるようにサポートします。
ビタミンDが多く含まれる食品は下記の表のとおりです。ビタミンDは日光に当たることで体内でも作られるため、1日15〜30分程度の日光に当たることも大切です。(季節によって変わる場合があります)
1日の推奨量
男女(50歳以上):9μg
▽骨に負荷のかかる運動を心がける
骨にかかる力が大きく、また繰り返しが多い運動ほど骨を強くします。散歩や階段の上り下りなど、日常生活のなかでできるだけ運動量を増やしましょう。
骨粗しょう症治療中の方や膝に痛みのある方は、運動を始める前に主治医に相談してください。
▽注意したい食品
お酒に含まれるアルコールやコーヒー、エナジードリンクに含まれるカフェインは、カルシウムを体外に排出させてしまいます。過剰摂取は控え、適量摂取を心がけましょう。また、インスタント食品、ハム類、スナック菓子などに多く含まれるリンもカルシウムの排出を活発にするため、加工食品に偏った食事にならないようにすることも大切です。
◇最後に
骨粗しょう症は痛みが出るまで自覚症状がないため、気づかないうちに進行していることが多いといわれています。骨折は介護の原因にもなるため、高齢者の方は特に注意して欲しい疾患ですが、働き世代の方から、気を付けることが大切です。
日頃から食事や運動を意識することで予防に取り組みましょう。
問合せ:保健福祉課保健推進係
【電話】2・1212