- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県栗原市
- 広報紙名 : 広報くりはら 令和7年6月号
(237) 新山館跡
新山館跡(新井山館跡、若柳城跡)は、若柳地区川南にある中近世の城館跡です。延宝年間(1673〜1681年)に仙台藩が領内の旧城についてまとめた「仙台領古城書上」では「若柳城」として紹介されています。
迫川に沿って東西に延びる標高約39メートルの丘陵にあるこの城館跡は、北側は迫川を背にし、南面は切り立った断崖によって守られています。仙台藩の史官・画工を勤めた佐久間義和(洞巌)や、仙台藩の儒学者であった田辺希文が完成させた各種地誌では「新山古舘」として紹介され、この山が一夜にしてできたため「新山」と名付けられたとの説明や、源義家が前九年の役の際に陣を立てた場所であると書かれています。
新山館の城主については、天正7年(1579年)に、大崎氏との国境戦に備えて、葛西氏の臣下である畠山氏が移り住み、その嫡男が跡を継いだとされています。その後は、葛西氏の分家である寺崎氏が、大崎氏に対抗するため、家臣である千葉氏を磐井郡峠村北館から新山館に移して守備を任せたとされ、この城館が葛西氏と大崎氏の争いにおいて、大きな役割を持っていたことが伺えます。
頂上部分は後世の開発によって当時の面影を失っていますが、数々の伝承と周辺の数多くの城館跡が、この地が長く合戦の場であったことを今に伝えています。
種別:市指定記念物史跡
指定日:昭和49年4月1日
所在地:若柳字川南上堤
問合せ:教育部文化財保護課
【電話】42-3515