文化 大局観(たいきょくかん)で今を… 歴史好き市長のつぶやき〈第113回〉

横手市長　髙橋大

産業、教育、観光などの分野において、台湾と日本との地域経済および産業の振興、人材育成に寄与することを目的に締結した大同大學(だいどうだいがく)(台北市)と株式会社デジタル・ウント・メア、横手市による『国際的産学官連携協定』が6月1日で10年となります。
これまで大同大學からは延べ100人を超える方々に来訪いただき、市内企業での職場研修や、中国語版ホームページの開設による横手市の認知度向上など、人的交流を通じて深いつながりを築いてきました。
この先も大同大學との交流を継続し、産業界との交流の発展を思い描きながら、強固な関係を作っていきます。
さて、台湾にはかつて50年にわたり日本人総督が派遣されていましたが、その中の一人に乃木希典(のぎまれすけ)がいます。私が好きな司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』で、乃木は『愚将』『無能』と酷評されていますが、三代目台湾総督として教育勅語(ちょくご)を漢文訳するなど教育に熱心に取り組み、現地の慣習を政策に取り入れ、日本人に対しては商取引の不正を戒(いまし)めました。また、日本の長年の念願であった不平等条約の改正にも一役買うなど、さまざまな功績を鑑みれば、私は愚将とは思っておりません。
秋田と台湾を結ぶチャーター便が10月まで継続されることから、冬の観光だけでなく夏の誘客にもつながるような横手の食やマンガ文化などの魅力を発信していきます。

乃木希典…長府藩(現山口県)生まれの明治時代の軍人。東京都港区の『乃木坂』は学習院院長であった乃木に由来する。