文化 はつらつ宮っこ

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現代美術の新鋭
宇都宮エスペール賞受賞

五月女(そうとめ)かおるさん
プロフィール
宇都宮市出身。令和6年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士前期課程を修了し、宇都宮美術館での出品や越後妻有アートトリエンナーレなどの各地の芸術活動に参加している新進気鋭の作家。

芸術の創造活動が特に顕著で、今後の活躍が期待できる芸術家を育成・支援し、本市の芸術文化の振興を図ることを目的に贈られる宇都宮エスペール賞。
17回目となる今回は、各地の芸術活動に参加し、令和5年度のうつのみや市民賞を受賞するなど、精力的に活動する新進気鋭の美術作家、五月女かおるさんが受賞しました。
選考委員長の佐々木吉晴(ささきよしはる)宇都宮美術館長は「動物などを金網という身近な素材で表現した独自のスタイルは、軽やかさのうちに現代的な視点を内包し、大変ユニーク。金網を使うことで、内と外、形と空間という可逆的で双方向的な、日常生活と深く結びついた表現が成されている。旺盛な創作意欲と多方面でアートシーンに関与する開かれた積極性を持つ作家であり、さらなる飛躍の可能性を強く感じさせる」と選考理由を語ります。
今回の受賞について五月女さんは「生まれ育った地元から支援してもらえることは、今後の活動において大きな励みになる。今後は制作活動を中心としつつ、展覧会の企画、運営にも挑戦し、市の文化活動に貢献できるよう一層精進していきたい」と笑顔で話します。
五月女さんは現在、愛知県名古屋市のスタジオを拠点に活動しており、アーティストと社会、作家と市民をつなぐ環境で制作活動に励んでいます。
作品のモチーフや意図については「ペットや家畜は器物として扱われ、野生から逸脱したものとして人間社会に組み込まれている。それらの形を、素材を通して客観的な目線から再構築し、あえて見えづらくすることで、目を凝らしてじっと見ることとなる。作品を見る人には、当たり前となっていることに対して改めて想像力を働かせる体験をしてもらいたい」と語ります。
作品作りについては「最初から完成図を意図して制作することもあれば、素材の実験や、展示場所、会場の制約からアイデアが湧くこともある。自分は話すことは得意ではないが、作品によって、そういった言語化しきれない感覚や、考えを表現している」とはにかみます。
五月女さんはこれからも、アートと社会の間を横断しながら、目を凝らし、それらの輪郭を捉え直し続けます。