くらし 温故創新

早川尚秀

■新市民会館と市役所本庁舎
先日、既に解体し無くなってしまった市民会館と耐震性能のない市役所の建て替えについて、足利市の方針を公表しました。
これまで、市民ワークショップの開催、各団体からの推薦者や公募委員で構成される市民検討委員会での議論、市民の代表である市議会との議論などを行い、市役所内部で検討を重ねてきました。そして民間設計事務所による各候補地の可能性調査報告書を踏まえ、さらには、市議会からの提言書を重く受け止め『(1)複合化して(2)競馬場跡地(足利赤十字病院隣)に建設する』という方針をまとめました。今後は、市民への説明会などを開催するとともに、市議会と議論を深めていきます。
建設費用について、2施設を複合化した場合の試算では、約22億円+αの削減効果が見込まれています。市民の大切な財源の有効活用、市民の利便性からも集約・複合化が望ましいと考えました。次に建設場所については、完成までの工事期間=スピードと、設計や建設にかかるコストをいかに抑えるかを重視しました。複合化を前提とした建設にかかる工事期間を比較すると
◇あしかがフラワーパークプラザ(市民プラザ)=約130カ月(約11年)
◇現市役場所:約90カ月(約8年)
◇競馬場跡地=約30カ月(約3年)
となります。工事期間が長くなれば資材高騰など建設費の変動を受けやすくなります。また、あしかがフラワーパークプラザの敷地に旧市民会館と同規模の大ホールを建設した場合、現在の文化ホール(826人)を先に解体しなくてはならず、約5年もの間、市内に大ホールがない状況になってしまいます。
そして、なにより、『まちづくり』の観点から、市役所を現在の場所に建て替えるのではなく、この価値ある土地を有効活用することで『まちなか』の活性化に繋げたいと考えています。そのため、跡地活用も並行して検討していきます。
「私たちの地域に建設してほしい」という声を各地域の皆さまからいただいています。市役所が示した方針に賛成の声も反対の声もあります。このように意見が分かれる場合、市としては『市民の利益の最大化』を考え進めていく判断をしなくてはなりません。
まちに新たな動きをもたらすチャンスでもあります。足利の明るい未来を築くために、将来を見据え、鋭意検討を進めていきます。