- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都台東区
- 広報紙名 : 広報たいとう 令和7年6月5日号
蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)(以下、蔦重(つたじゅう))は寛延3年(1750)、江戸・新吉原(現在の台東区千束)に生まれました。蔦重は吉原大門前に書店「耕書堂(こうしょどう)」を開業し、黄表紙(きびょうし)等の出版に携わる中で、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)などの江戸文化を代表する作家たちを見いだし、「江戸のメディア王」として成功を収めました。
今月から半年間、蔦重が出版した作品や交流のあった作家を取り上げ、当時の江戸の文化について紹介します。
■その一 蔦重が手掛けた出版物(1) 吉原細見
吉原細見(よしわらさいけん)は、吉原の妓楼(ぎろう)や遊女の名前を掲載している案内書です。遊女は入れ替わることがあるため、定期的に改訂し情報を更新する必要がありました。蔦重は情報収集役から細見の編集に関わり始めます。『細見嗚呼御江戸(さいけんああおえど)』では序文の執筆者に平賀源内(ひらがげんない)を起用し、注目を集めました。蔦重が初めて出版した吉原細見『籬乃花(まがきのはな)』では、1ページに1つの妓楼を掲載した従来版と異なり、通りを挟んだ妓楼を上下に掲載することで、ページ数を減らし、安価で売り出すことに成功しました。蔦重が出版する吉原細見は見やすいと評判がよく、やがて独占出版となりました。
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