文化 特集 としまで光る匠の技 (2)

■匠の現場
日々の手仕事を通して伝統工芸を守り、今に伝える職人たち。
技術を磨き続け、魅力ある作品を生み出す職人たちの想いをご紹介します。

伝統工芸士の詳細はこちら

◆貴金属装身具 島 功(しま いさお)さん
平成20年 東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞
令和5年 卓越した技能者(現代の名工)

その1
一生をかけて追求し続ける
ものづくりへの熱意と技術

○ものづくりへの変わらない探究心
子どもの頃から、近所の駄菓子屋で買った折りたたみナイフで竹とんぼを作るなど、道具を使ったものづくりが好きでした。高校卒業後すぐにこの道を選び、約60年間、貴金属装身具工として携わっています。扱う金属は金やプラチナ、銀など多岐にわたり、ペンダントや指輪など日常使いできるものから、コンテスト用の作品まで幅広く制作しています。技術は一生をかけて追求するものです。より良いものを作るために試行錯誤し、研究することが本当に好きなので、この仕事に苦しさや難しさを感じたことはありません。作品を見た方に喜んでいただけるものを作り続けます。

○培った技術を次世代へつなぐ
金工のことを少しでも知ってもらおうと、豊島区の伝統工芸に関する活動にはすべて参加しています。「としまMONOづくりメッセ」での小学生向け体験教室の出展は、第1回から始めて今年で19回目となりました。子どもたちが手軽に金工に触れられるよう、銀のプレートにイニシャルを打つ体験を提供しています。また、としま産業振興プラザ(IKE・Biz)での伝統工芸教室は、お菓子を持ち寄り、お喋りをしながら進めるので交流の場にもなっています。体験を通して、この仕事に興味を持ってもらえたらうれしいです。

◆東京手描友禅 上原 實(うえはら みのる)さん
豊島区伝統工芸保存会前会長
平成27年 東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞
平成31年 豊島区登録 無形文化財保持者認定

その2
先代から受け継いだ技で時代に合った芸術性を表現

○確かな技術が華やかな作品を支える
金箔や銀箔を使いバラや菊などを描いた、華やかで洗練された作品を手がけていた父。その職人としての姿に憧れを抱き、高校卒業後すぐに弟子入りをしました。作品によって制作工程は異なりますが、まずは白生地を裁断して図案を描き、ムラサキツユクサの花弁から抽出した「あいばな」で下絵を施します。そして、下絵の線に沿って糸のように細く糊を置く作業を経て色を挿していきます。細かいものも含めると少なくとも23の工程があり、振袖の制作時はさらに刺繍を施すなど、様々な技術が求められます。

○時代の変化とともに続く挑戦
落語家や絵描きなど芸能関係者が多かった豊島区は染色の街でした。昔は20~30軒ほど染色関係の人がいて、多くの職人が活躍していましたが、今やごくわずかになってしまいました。古典やモダンといわれるように、流行は変化するもの。着物も伝統工芸だからと言って地色や柄を固定化するのではなく、常に時代とともに変えていくべきだと感じます。最近では、若い人にも使ってもらえるような色味・生地にこだわった、小風呂敷を制作しました。作品を間近に見て、幅広い世代に楽しんでもらいたいです。

◆金工 渡部 隆(わたなべ たかし)さん(号:流線(りゅうせん))
平成19年 第9回全日本金銀創作展グランプリ 経済産業大臣賞
令和6年 東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞

その3
手仕事が生み出す価値をより広く、より日常的に

○手作業だからこそ実現可能な精密さ
「金工」は金属工芸を指し、扱う金属は1種類に限りません。また、金属を彫って成形する「彫金」や金槌や木槌で叩く「鍛金」、金属を流し込む「鋳金」などの分野があります。需要が高かった時代は各分野の専門家として働くことが常でしたが、工業化が進み職人のスタイルも多様になりました。現在私は、デザインから成形までの工程を一貫して行っています。インターネットも写真もなかった時代に作られたものは、どれも精緻なデザインです。これは、一つ一つの形を手で起こしていたからだと考えています。きっとモチーフとなる生物などを観察して写生していたのでしょう。先人のものづくりに思いをはせながら、私も手作業だからこそできる精密さを追求しています。

○技術を守りつなげるため、伝統を日常へ
江戸時代は、金工も友禅も伝統工芸とは呼ばれていませんでした。しかし、徐々に手工業が衰退するなかで、国や自治体が工芸を保護するために「伝統」という冠が付けられました。江戸時代であれば、銅でやかんや鍋を作るなど、金工の技術は高尚なものではなく日用品に使われていたのです。金工で作ったものが、気軽に日常的に使われるようになってくれればと思い、使った時の心地よさや手触りにこだわっています。

■工芸士も出展!
伝統工芸も体験できる
第19回 としま MONOづくりメッセ
区内の企業を中心とした90社以上が参加する区内最大級の見本市です。優れた技術・匠の技に触れることができるワークショップや食品や雑貨などの展示・販売を実施します。また、ビジネスに役立つセミナーや、子どもからおとなまで楽しめる体験教室など、様々な企画を用意しています。
日時:2月27日(金)・28日(土) 午前10時~午後5時
場所:サンシャインシティ展示ホールB
申 当日直接会場へ。 問 商工政策グループ電話03-4566-2747

◆体験
○ものづくり体験教室
日時:2月27日(金)
豊島区伝統工芸保存会による伝統工芸ワークショップ
1シルバーの槌目(つちめ)リング作り
貴金属装身具の技術を使い、世界に1つだけの指輪を作る
2ドーナツペンダント作り
金工の技術を使い、銅でドーナツ型のペンダントを作る

・絵てがみ描こう会
(日本郵便〈株〉豊島区内郵便局)
・ボタニカルアロマキャンドル作り
(cafe chocotto)

日時:2月28日(土)
・スイーツ食品サンプル作り体験
(大和サンプル製作所)
・まちがいさがし手作り体験
(まちがいだらけの博物館)
・子どものための科学教室
(〈公社〉豊島法人会)
・災害時に役立つ!紙食器andポンチョ作り
(損害保険ジャパン〈株〉)
・にゃんにゃんモビールを作ろう!
(創形美術学校)
・イラストを描いて自分だけのエコバッグづくり
(スーパーバッグ〈株〉)

シルバーの槌目リング作り
ドーナツペンダント作り

◆講演
売上9割減からのV字回復
「地球の歩き方」再生に見る事業多角化のヒント
2月27日(金)午前10時30分~11時30分
講師
(株)地球の歩き方
代表取締役社長
新井邦弘氏

◆企画
○としまのしごと大図鑑
区内産業の魅力と取組みを一挙に紹介。
区内にある企業や団体を学んで、クイズに答えよう!
○クイズラリー
毎年大好評のクイズラリー。会場内の各ポイントでクイズに答えて、プレゼントがもらえる抽選会に参加しよう!