くらし 市長コラム 多摩の風 第139回

■多摩市に「人間国宝」が誕生!!
映画「国宝」ご覧になりましたか。曽根崎心中の場面は圧巻でしたね。歌舞伎役者として「人間国宝」への苦難の道を見事に演じ切った吉沢亮さんそして横浜流星さんに喝采です。
先月、開催された「第17回TAMA映画賞」で最優秀作品賞を授賞し、私から吉沢さんに表彰状を授与しましたが、私は興奮しっぱなしで。
実は、本年、この「人間国宝」になられた方が多摩市に誕生しました。もちろん、本市では初めて。渡辺晃男さんです。先月、文化庁のある京都で伝統的な芸能・工芸の分野で高い技術を持つ重要無形文化財の保持者、いわゆる「人間国宝」の認定書交付式に出席されました。
渡辺さんは昭和28(1953)年の千葉県生まれ。木工芸の世界、特に指物という組み手をみせず、釘を一切用いず、調度品や箱物を神代欅、楓など選び抜いた素材を活かし、さらに夜光貝、べっ甲などの輝きを丁寧に素材にはめこむ象嵌と呼ばれる技法で正倉院時代を彷彿とさせる工芸品を制作しています。
若い時に日本伝統工芸展でその美しさに魅了され、その後、同展で優秀賞や各賞を受賞し、令和元(2019)年には紫綬褒章を受章されました。
渡辺さんは「小さい時から木工などが好きで大工さんか指物師になりたかった」と幼少期を振り返ります。実際、市内の保育園で渡辺さん制作の椅子やテーブルが使われています。「たま広報」1月1日号に渡辺さんが登場します。お楽しみに。
(多摩市長 阿部裕行)