文化 あつぎ郷土博物館連動企画 學藝員のススメ 第70回

博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。

■アグー 沖縄県糸満市の豚食文化を象徴
大野 一郎
友好都市の糸満市を紹介する特別展「いとまんの文化と自然」を開催しています。沖縄といえば、ラフテー、ソーキそば、ティビチ(豚足)、チラガー(豚顔)などのブタ料理。「ブタは声まで食べられる」らしく、内臓のみならず、血まで食されます。私たちは胃・小腸・大腸をホルモンと言って食べますが、沖縄では「ナカミ」と呼び、すまし仕立ての汁にします。血は正月のごちそうになる重要な食材です。
沖縄では人とブタの距離が近く、ふん尿をブタが処理するウヮーフール(ブタ便所)という施設が自宅に設置されるなど住文化にも影響を与え、漁師は豚の血で網を煮て丈夫にしていました。
1980~2000年代になると、外来豚と比べおいしさや栄養価の面で優れたアグーの価値が認められるように。沖縄では「ウチナームン(沖縄のもの)」に高い価値を置く流れが生まれます。沖縄文化のシンボルとなったのが「真っ黒なアグー」だったのです。

問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515