- 発行日 :
- 自治体名 : 石川県津幡町
- 広報紙名 : 広報つばた 2026年2月号
■アピアランスケアは知っていますか?
河北中央病院 外来看護師
アピアランス(appearance)とは「外見」を意味する言葉です。病気の治療による外見の変化で引き起こされる精神的苦痛を、医学的・整容的・心理的・社会的支援によって軽減するケアやサポートを「アピアランスケア」と言います。アピアランスケアは、自己肯定感と生活の質を高め、治療にも前向きに取り組めるように支援することが目的です。
がんの治療による外見の変化には、脱毛(毛髪・まつ毛・眉)、爪の変化・変形、色素沈着、浮腫、肌の色の変化・乾燥・くすみ(顔・唇)などがあります。特に女性特有がんでは、脱毛を伴う抗がん剤が多く、病気を告知された際、真っ先に不安になる要素のひとつです。
これらは命に関わるものではありませんが、同じ病気であっても、治療方法や経過によって人それぞれです。また、同じような外見の変化が起きても、日常生活への影響や本人の感じ方はさまざまです。そのため、過小評価されやすく、周囲にも理解されないことがあります。
しかし、当事者によっては、何よりも苦痛で、生活の質に大きく影響が出る方もいます。「人前に出たくない」、「病気だと知られたくない」、「自分らしいおしゃれができない」など、外見の変化への不安が治療法の選択時に影響することもあります。治療を選ぶ際にアピアランスケアの知識があることで、少し冷静になれ、今までどおりの生活や社会への復帰につながります。
アピアランスケアの種類は、ウィッグ、帽子、眉毛シート、つけまつげ、ネイルオイル、乳房補装具などがあります。また最近では、アイライン、眉毛、リップラインなど長期間持続する医療アートメイクも注目されています。これらを取り入れることで、治療の副作用がつらいときでも、これまでに近い生活を送ることができます。
病気を告知されると、本人でさえも、直接治療に関係がないことは後回しにしてしまいます。だからこそ、もしものときのために「アピアランスケア」というものを頭の片隅に置いておくことで、ご自身や大切な方の身に起きたときに、少し心を軽くできるかもしれません。
アピアランスケアは医療ではないので、周囲の無理解も当事者を苦しめます。しかし、情報が広がり、アピアランスケアが身近なものになることで、受けたいと思ったときに、周囲からの理解のハードルも下がるのではないかと思います。そして治療への意欲にもつなげてもらえたらと思います。
