その他 [特集]12月20日はこうふ開府の日 宮沢和史さんスペシャルインタビュー
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- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県甲府市
- 広報紙名 : 広報こうふ No.839 2025年12月1日号
甲府の原風景は僕の音楽の礎
『島唄』『風になりたい』など、時代を超え国を越えて愛される歌で知られる、シンガーソングライター。甲府大使の宮沢和史さんに、地元や子どもたちへの想いを語っていただきました。
■みやざわかずふみ
甲府市生まれ。THE BOOMのボーカリストとしてデビュー。世界中を旅し、独創的な音楽を生み出す。数々のアーティストへの楽曲提供をはじめ、俳優や著作、沖縄民謡の保存・継承など幅広いジャンルで活動を行う。
■ふるさとの記憶
◆遠かった通学路が僕の冒険だった
―小さい頃の思い出は?
小学生時代は千塚小学校に通い、富士見の自宅から30分かけて登校していました。荒川沿いを歩いたり釣りをしたり、遠い通学路が日々の冒険でした。北中は近くて楽でしたが、高校は南高に進学し、遠くなった分、甲府の南部にも足を運ぶようになり、まちの見え方が変わりました。
―甲府のいいところは?
まちでありながら自然がすぐそばにあること。和田峠や昇仙峡、黒平(くろべら)など、少し足を伸ばせば豊かな自然に触れられますよね。空気や水がきれいで、野菜や果物もおいしいですし。災害も少なく、子育てにも適した住みやすい場所だと、家族を持ってから改めて気づきました。
◆島と盆地違うようで似ている
―沖縄との共通点は?
気候や地形は異なりますが、助け合いの精神や地域のつながりに共通点を感じます。甲府の〝無尽(むじん)〟と沖縄の〝模合(もあい)〟のように、困ったときに手を差し伸べる温かさがあるのも共通点だなと感じます。
◇宮沢さんと沖縄
若い頃、沖縄戦の体験者から話を聞いたことが大ヒット曲『島唄』誕生のきっかけに。くるち(※)や沖縄民謡を保存する活動を精力的に行っている。2012年には「くるちの杜 100年プロジェクト」を宮沢さんが呼びかけてスタート。また同年からは各地の唄い手を訪ねて沖縄民謡を収録する「唄方(うたかた)プロジェクト」も始動。“音の教科書”として学校や図書館などに寄贈した。
※琉球黒檀(りゅうきゅうこくたん)のこと。沖縄の伝統楽器・三線(さんしん)の竿として使われるが当時、国産が希少になっていた
■思い描く未来
◆歴史をつなぐまちに文化の灯を
―甲府に期待するのは?
戦争で失われた歴史を再構築し、文化的な活動を通じてまちの魅力を発信してもらえたらうれしいです。舞鶴城公園や亀屋座などを活用して、音楽や演劇、ワークショップといったことを展開するとか、まちの中心で文化が育まれる場をつくっていけるといいですね。
■子どもたちに
◆教室の片隅から世界を変える
―「こうふドリームキャンパス(※1)」で心がけているのは?
教室は社会の縮図。身近な人を助ける気持ちを大切にしてほしいですね。いじめに気づいたら声をかける、困っている人に手を差し伸べる、するとクラス全体が温かくなるし、いいバイブレーションが生まれる。結局それが社会につながっていくから。甲府は助け合うまちだと思うので。
子どもだからといって子ども向けの言葉ではなく、少し背伸びさせるような話を意識しています。全て理解できなくても、大人になってから思い出してもらえたらそれでいいと。
夢が決まっていない子にも寄り添い、人生の中で「これだ」と思える瞬間に気づけるよう、眼をいつも開いて心を開いてね、前を向いて歩いていれば人生気づくことがいっぱいあるからね、と話しています。
※1 「こうふドリームキャンパス」は開府500年を機に生まれたレガシー事業の一つ。甲府大使などが先生となり、子どもたちに夢の授業を行っている
■音楽の力
◆カタチは見えなくても確かに届くもの
―歌の魅力は?
皆さんも心当たりがあると思うんですが、歌っているときは邪念が消え、本来の自分になれますよね。音楽はカタチがないからこそ、どこでも始められ、誰かが歌い継いでくれる強みがあります。『島唄』が平和の祈りとして歌い継がれているように、歌は想いを伝える力を持っています。
■これからの抱負
◆歌いながらふるさとに恩返し
―今後の活動は?
甲府や山梨の子どもたちに、世界で見聞きしたことを伝えていきたいです。沖縄の人々の声を届ける活動も続けていきたいですね。甲府に貢献できる機会があれば、文化的なイベントの企画や監修にも関わっていきたいと思っています。
■市民の皆さんと
◆このまちに生まれてよかったと思える日を
―開府の日のステージは?
甲府の歴史とつながりを感じられるような、文化的で誇りを持てるイベントにしたいです。信玄公のまちづくりの志を受け継ぎ、未来へつながる一日にしたいと思っています。
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※詳しくは本紙をご覧ください。
