- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県上田市
- 広報紙名 : 広報うえだ 令和7年5月号
吉澤 要(よしざわかなめ)
地域医療政策室 地域医療政策総合調整参事
(独)国立病院機構 信州上田医療センター 名誉院長
※「吉澤」の「吉」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
■睡眠について改めて考えてみよう
今まで「人生100年時代の健幸生活」を送るため、食事や運動の重要性を解説してきました。もう一つ欠かせないのが睡眠です。ヒトは人生の3分の1は眠っています。まだわからないことも多いのですが、眠っている間に体と脳を休ませるだけではなく、重要な他の役割を持つことがわかってきました。
▽体内時計と睡眠
人類は、ずっと日の出とともに起きて、日が落ちると眠る生活をしてきました。人工の光が発明されたのは、数百万年の歴史の中ではほんのわずか前です。遺伝子の中に組み込まれたこのリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)といい、約24時間の周期となっています。また体内時計が刻むリズムにはホルモンや自律神経も関わっているため、変えることは困難です。しかし、現在では夜でも強力な光が煌々としており、その影響で体内時計が乱れ、多くの人が睡眠に満足感を得られずにいます。
▽睡眠サイクル
睡眠にはサイクルがあります(図)。夢を見る「レム睡眠」と、脳の大部分が活動を休める「ノンレム睡眠」が、個人差はありますが約90分ごとに繰り返されます。
眠りにつくと、まず深い眠りのノンレム睡眠が現れ、そしてレム睡眠となり、これを繰り返しながら徐々に浅い眠りになり、朝の目覚めに向かいます。睡眠中は、起きている時に大量に脳に入ってきた情報や記憶を整理・取捨選択し、さらに、脳に溜まった有害な老廃物を洗い流しています。この老廃物は、アルツハイマー型認知症を発症する一因になる恐れがあります。
レム睡眠中は、脳と運動神経の間が遮断されるため体は休んでいますが、脳の感情や記憶に関与する部位が活発に活動し、特に命の危険、不安など恐怖の記憶の重要性を判断しているといわれています。この時に夢を見るようです。
睡眠の仕組みや大切さがお分かりいただけたでしょうか。人それぞれ睡眠環境は異なります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に、子ども、成人、高齢者、交代勤務者など状況に応じた対処法が載っていますので、参考にしてください。
問合せ:地域医療政策室
【電話】75・5463