- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県小海町
- 広報紙名 : 小海町公民館報 第560号
山田薫
富山県出身の私は、去年の八月、転職をきっかけに小海町へ移住してきました。生まれ育った海沿い、海抜五mの暮らしから一転、標高一〇〇〇mほどのこの町へ。移住してすぐの八月に初めて訪れた白駒池では息が上がりましたが、三か月後の十月にはすっかり慣れて、中山に登れるようになりました。
今は、松原湖のほとりにあるホテル「MIYAM」で働いています。お客様にとって心地よい滞在になるよう心を尽くすのはもちろん、この町に関わる人たちが「小海っていいところだな」と思える、そんな誇りに感じてもらえる場所にしていけたらと願っています。
初めての冬には、公魚(わかさぎ)釣りにすっかり夢中になりました。氷上での釣りは初めてで、最初はたった一匹。それでも、松原湖に通う地元の“師匠”たちにいろいろ教えてもらい、六回目、シーズン終わりごろには二十匹以上釣れるように。まだまだですが、自分なりの成長を感じられた嬉しい一年目でした。次は念願のシーズン券デビューを果たし、公魚の南蛮漬けができるくらい釣ることを目指しています。
自然が美しいのはもちろんですが、散歩をしていたら声をかけてもらえたり、車ですれ違う時に手を振り合えたり。ご近所さんとの朝のたわいのない会話や、困ったときに頼れる友人ができたことなど、この町で得たあたたかなつながりが何よりの宝物です。
朝は鳥の声で目覚め、風が木々を揺らす音や、空を見上げるたびに表情を変える雲の美しさに、日々心がほどけていきます。
去年は出張で十一月から十二月を逃してしまったので、今年こそは四季をまるごと、小海で満喫したいと思っています。