- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県恵那市
- 広報紙名 : 広報えな 2025年9月号 No.398
■恵那の栗を未来につなぎたい「栗の名産地・恵那」存続のために
本年5月、栗の専門知識と剪定技術が問われる「指導剪定士」に合格した中山勇吾さん。専業栗農家として働く傍ら、東美濃栗振興協議会青壮年部を立ち上げ、現在は同部の副部会長と恵那市栗栽培振興会の副会長として恵那栗ブランドの維持と発展に尽力している。
中山さんは恵那農業高等学校を卒業後、岐阜県農業大学校に進学。卒業後は造酒や自動車部品製造などを経験し、37歳で「やはり農業がしたい」と実家の栗農家を継ぎ専業農家に転身。当初は知識も技術もなく収入も不安定だったという。農協の臨時職員やアルバイトで生活費を稼ぎつつ同協議会の研修制度を活用し、38歳で「剪定士」に合格。知識と技術を身に付け、収穫量や品質、収入が向上した。
44歳で若手農家の交流などを目的に、同協議会の青壮年部を創設。副部会長として栗農業に挑戦しやすい環境づくりに奮闘している。46歳で恵那市栗栽培振興会副会長に就任すると、栗を入れて20キロにもなる収穫用コンテナを誰でも運べるように軽量化するなど、現場の課題解決にも励んだ。
本年、47歳で「指導剪定士」に合格。応用の知識を身に付けた中山さんは「地球温暖化により、栗の収穫量が不安定になってきている。酷暑に合った剪定や対策を講じたい」と意気込む。
高齢化が深刻な栗農業。10年後には市内の栗農家が半分に減るといわれている。「新規就農者の獲得に本気で取り組まなければ恵那栗のブランドは消えてしまう」と危機感を募らせる中山さん。
「恵那栗は国内有数の高値で取引されるが、初期投資が少なく始められ、作業時間も短い。心理的負担も少なく、栽培に関わる全ての決定権が自分にあることが面白い。社会復帰を目指す方などの選択肢の一つになれば」と、今後も恵那の栗を未来に継承するために力を尽くす。
◆中山勇吾(ゆうご)さん(47歳)(大井町丸池)
□プロフィル
120アール(テニスコート約46面分)の栗畑を管理する専業栗農家。趣味はゲームをすることと漫画を読むことで、現在は『ヴィンランド・サガ』を愛読中。大きな庭でゴールデンレトリバーのポポちゃんを放し飼いしており、涼しい時間帯に散歩するのが日課。