- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県下田市
- 広報紙名 : 広報しもだ 2026年1月号No.801
■ヒートショックとは
循環器内科医 早瀬太一郎(はやせたいちろう)
1990年代後半、冬季の入浴中の急死事故が増加したことを報道する過程でメディアが「ヒートショック」という言葉を使い始めました。医学用語としては「入浴関連死」「寒冷暴露による循環器疾患」などが正しい表現ですが「ヒートショック」という言葉は広く定着しています。
急激な温度変化により血圧と脈拍が乱高下することにより失神・心筋梗塞(しんきんこうそく)・脳卒中(のうそっちゅう)などを引き起こす現象で、高齢者の家庭内死亡の原因として、ヒートショックが関与しているケースは年間1万人以上と推定されています。特に高齢者において入浴時に多発するといわれています。冬季の入浴前、脱衣所が寒い時(寒冷刺激)には、交感神経の過剰反応により血管が収縮して血圧が上昇します。入浴後は、温熱刺激により血管が拡張し血圧が低下します。この血圧の急激な変動が心血管系に大きな負荷を与えます。実験データでは若年者よりも高齢者の方が入浴により血圧と心拍数が急上昇しやすく、その後交感神経活動が低下しやすいことが示唆されています。この反応性の違いが冬季に高齢者の入浴に伴う事故(溺水のリスク)が多い理由と考えられています。
近年入浴に伴う事故のみならず、ヒートショックによる血圧変動が致死率40%の心筋梗塞を誘発し、心停止の発生が10月〜4月に集中していることが報告されています。一方で断熱性能の高い住宅では、室内の温度差が緩和され、入浴時や起床時の血圧変動が抑制されることも知られるようになりました。現在、ヒートショックは予防可能な循環器リスクと考えられるようになっています。寒い季節になる前に、ヒートショックを予防するための方法が国立循環器病研究センターのホームページで閲覧する事ができますので、一度参考にしてください。
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