- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県新城市
- 広報紙名 : 広報しんしろ ほのか 令和7年9月号
■更年期における手の障害「メノポハンド」
日本人の平均閉経年齢は51歳ですが、閉経前後の5年ずつを合わせた10年間を「更年期」と呼びます。更年期の手の障害をメノポハンドといい、よくみられる手の症状として、こわばり、しびれ、関節の痛みなどがあります。手指の腱や関節などには、女性ホルモンの1つエストロゲンと結合してさまざまな生理機能に影響を与えるエストロゲン受容体が存在しています。閉経によるエストロゲンの急激な減少がメノポハンドの発症に関与している可能性が考えられています。それ以外にも加齢による影響もあります。ストレスにより分裂できなくなった老化細胞が、腱鞘炎では腱鞘に、変形性関節症では軟骨に多く存在していることが明らかになってきました。
メノポハンドの代表的な疾患は、ばね指と手根管(しゅこんかん)症候群です。ばね指は、指を曲げる腱鞘の炎症です。手根管症候群は女性に多く、手首の手根管というトンネルの中で神経が圧迫され、手指のしびれを引き起こします。どちらも更年期以降で発症が増加しますが(図参照)、進行すると指先の感覚が低下したり、母指球筋が委縮したりして、つかむ・つまむ動作が困難となります。
これらの症状が進行すると手術治療が有効です。思い当たる症状があれば、整形外科や手外科の医師に相談してみましょう。
文責:名古屋大学 大学院医学系研究科 人間拡張・手の外科学
教授 山本 美知郎(やまもと みちろう)
日本の年代別「鏡視下手根管開放術」の10万人あたり年間発生数
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