- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県豊明市
- 広報紙名 : 広報とよあけ 令和7年12月1日号
節気は小雪(しょうせつ)。いつの間にか師走(しわす)を迎え、今年も残すところわずかでございます。何かと忙しいこの季節、何かやり残したことがあるはずなのに、それが何かを思い出せない。な〜んて、日々を送っているのは私だけでしょうか?
さて、これから西高東低(せいこうとうてい)の冬型の気圧配置となり、大陸北方(たいりくほっぽう)から冷たいシベリア気団がやってきます。「お〜、シベリアって聞くだけで寒くなってきますよ」「うんうん、俳句の季語じゃないけど、名称自体に寒暖を感じるものってあるよね」そうですね。花の名前も、サザンカやウメなどは寒さを感じさせるし、ヒマワリと聞くと暑いイメージです。「ま、これらはすべて季語にもなってるけどね」おっと、そうでしたね。失礼しました。
季語といえば、ダリアは夏から秋に咲く花なので、夏〜晩夏の季語になっているようです。しかし、同じダリアの仲間でありながら、キダチダリアは、今が開花の盛りです。「キダチダリア?聞いたことないな。」そうですね、〈皇帝ダリア〉と言う名称の方が普及しているでしょうか。
キダチダリアは、キク科ダリア属に含まれる種(しゅ)で、メキシコから中米、コロンビア原産の多年草です。生息場所は1500m以上の、いわゆる熱帯高地(ねったいこうち)にあたります。「熱帯高地って、たしか洋ランの原産場所と同じですわね。」そうです。よく覚えてましたね〜!
熱帯高地という、人が近づきづらい場所のためか、キダチダリアが世に知られたのも洋ランと同時期で、ドイツの植物学者エドゥアルト・アウグスト・フォン・レーゲルが1863年当時の月刊誌『Gartenf lora(ガルテンフローラ)』の記事に「…1862年に、ベネディクト・レーツルがメキシコで発見した株がチューリッヒ植物園に送られ、届いた株はエドゥアルド・オルトギースによって栽培された。当初、10月に花芽が形成された時点で温室に移されたため、開花は不完全であったが、その後、栽培は成功し、直径17cmの花を咲かせ、高さ3.6〜4.5mにもなる太い茎(くき)に花と葉のピラミッドを形成するようになった。」と、紹介しています。
キダチダリアの特徴は、レーゲルの紹介にあるように、背丈が4〜5m、花の径が20cmと大きいところです。あまりに大きいので、たとえ塀のあるお庭に植えられているものでも、通りから眺めることができます。この時季、お庭のある住宅の多い場所を歩いていると、きっと見かけられることでしょう。その時は、どうぞ家主の方に怪しまれないよう、十分にご配慮の上、風景の一部としてご観賞されることをお勧めしま〜す。
執筆/愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦
※写真は広報紙30ページをご覧ください。
