健康 お答えします! 健康に関する素朴な疑問 健康なんでも相談室

市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院
内科・総合診療科副部長
谷崎　隆太郎　医師

質問：認知症予防に大切な健康習慣はなんですか?
回答：たくさんあるので、まずは取り組めそうなところからはじめましょう

■少しずつ始めてみよう!!
世の中にはさまざまな情報が溢れており、「◯◯の原因は●●が9割!」とか「認知症を防ぐ、たった一つの◯◯!」といった書籍も散見しますが、残念ながら何か一つだけやってればOKというような健康の秘訣は存在しません…!
認知症に関して言えば、2024年にイギリスの医学専門誌ランセットに掲載された研究によると1)、認知症の予防に有効な習慣は、「高血圧、糖尿病、コレステロールのコントロール」「タバコを吸わない」「肥満の改善」「大気汚染の改善」「頭のケガを避ける」「うつの予防と治療」「運動を増やす」「アルコールを多量に摂取しない」「難聴の治療」「視力低下のケア」「孤立・孤独を避ける」といった項目が挙げられています。他の研究では、「睡眠障害」も認知症のリスクになるとされています2)。
一気にこれらすべての良い習慣を実践できるに越したことはありませんが、なかなか難しいこともあると思うので、できることから一つ一つコツコツと実践していくとよいでしょう。

■気をつけるべき習慣も…
しかし、良い習慣を始めたとしても、悪い習慣を実践してしまったら、せっかくの良い習慣の効果が打ち消されてしまうかもしれません。例えば、認知症予防に運動を頑張っても、タバコを吸いながらお酒をガブガブ飲み、塩分の高い食事を摂って高血圧が悪化したら、結局は認知症発症のリスクは下がるどころか上がってしまいます。
なお、私事ですが最近になっていよいよ老眼が出始めたので、認知症予防も兼ねて眼鏡を新調しました。皆さんも、自分にできることから始めてみてはいかがでしょう。
1)　Lancet 2024；404(10452)：572-628.
2)　J Neurol Neurosurg Psychiatry 2020；91(11)：1201-1209.

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