くらし 【クローズアップ】手話で広げよう 伝え合う社会へ(2)

■手話の学びにFOCUS
若松小学校には手話クラブがあって、13人の児童が楽しく手話を学んでいます。手話の指導をしているろう者の出水田さんに話を聞きました。

◇ろう者として手話を教える
私はこれまでも若松小学校で手話歌を教えたことがあって、学校とのつながりはありました。「聞こえない子が身近にいなくても、手話を使える子が増えるのはすてきなこと」と、学校から頼まれた手話クラブの講師を引き受けたのが2年前。年に8回のペースで呼んでもらって、手話を教えています。

・出水田いつ子さん…「手話を広めたい」
・天野淳子さん…「ろう者と聴者のコンビで活動中」

◇楽しく学べるようにゲーム形式も
クラブ活動では、ペアになって手話で会話したり、ゲーム形式を取り入れたり、楽しく学んでもらえるように工夫。みんな表情が明るくて、楽しそうに手話をしている姿を見ると、自分も楽しくてうれしい気持ちになります。

◇「手話が当たり前」の社会へ
若松小学校の手話クラブのように、耳が聞こえる・聞こえないに関係なく、手話を学ぶ人たちが増えるとうれしいです。自由に手話を学べる環境が整ってきているように思います。
法律でも「手話は言語」だと認められ、テレビ番組などでは、手話通訳者が話者のすぐそばで手話をしている光景もよく見かけるようになりました。手話が当たり前だという社会になってきたと実感しています。

◇ろう者の社会参加が増えていく
手話を使える聴者が増えると、ろう者と聴者のコミュニケーションがますます活発になります。こうした環境が広がれば、ろう者がいろんな場所に出て、イベントなどの社会活動に参加しやすくなるのではないでしょうか。

◇「手話で伝え合う社会」を目指して
子どもたちは手話を覚えて、お互いに教え合っています。廊下で会うと、手話であいさつしてくれます。子どもたちに手話を教えていると「手話で伝え合う社会」の真ん中にいるような気持ちに。この活動は続けていきたいですし、子どもから大人まで手話を学ぶ場所があって、手話があふれる社会になったらいいなと思います。
ろう者と話すときは、完璧じゃなくても「伝えたい」という気持ちがあれば大丈夫。手話ができなくても筆談、身振りなどで十分に会話はできます。手話の楽しさを知る人が増えれば、きっと手話で伝え合う社会が広がっていくと、信じています。

■手話を通して、どんな気持ちが生まれた?
▽中倉杏奈さん
・すぐに心が通じてうれしい気持ちに
クラブ活動では、手話を使った伝言ゲームが一番盛り上がる。遊びながら手話ができて、手話ですぐにみんなと仲良しになれたよ

▽矢部結月さん
・緊張はするけど伝えたい
動物の名前を覚えるのが楽しい。手話をするときは緊張するけど、耳が聞こえない人が困っているときに、手話で伝えてあげたいな

▽江川すずさん
・生活の中でも手話で話したい
自分の名前の指文字を覚えたとき、手話って楽しいなって。日常生活でも手話を使って、耳が聞こえない人と話せるようになりたい

■広がる共生コラム(1) 「触手話」で盲ろう者の伴走をサポート
府盲ろう者通訳・介助者
星野淳子さん
○「一人で走っているような感覚」を目指して
視覚と聴覚の両方に障がいを持つ人が、マラソン大会に出場するときに伴走するボランティアをしています。
レース中や練習では、手話を手に触れて伝える触手話で会話。危険を知らせることは大事ですが、前に誰もいないから自由に走っていいよ、と伝えて気持ちよく走ってもらうことも大事。ゴールした後、「ありがとう、気持ちよく走れたよ」と言ってもらえるとうれしいです。
・触手話は、盲ろう者が話し手の手を上から軽く包み込むように触れながら、動きを読み取って会話します
・触手話以外にも、輪にしたロープを使って動きや方向を伝え、息を合わせて走ります

■広がる共生コラム(2) 災害時のろう者のコミュニケーションを支援
聴覚障害者のための防災ネットワークを考える会
北原美智代さん
○つなげる支援 災害時の不安を減らす
防災マニュアルやコミュニケーション支援ボード(写真下)を作成し、ろう者が災害時に孤立しないよう取り組んでいます。
避難訓練、民生委員研修などで活用してもらうため、災害時にろう者が困る場面を解説したDVDを製作。手話のできるボランティアが到着するまでの間も、最低限のコミュニケーションを保つことができる環境が作れるよう取り組んでいます。
・災害時はろう者のコミュニケーションを手助けします。ベストを着た同会会員を見かけたら、声をかけてください
・イラストや文字が描かれたボードやシートで、指差しや筆談に聴覚障害者のためのよって意思を伝えます

問合せ:障がい福祉課
【電話】674-7164