文化 まちの文化財(253)

■宿南の池田朋章(いけだほうしょう)
池田朋章氏(明治44年〜平成11年)は八鹿町宿南出身の洋画家で、本名は池田梅郎(うめお)です。東京の川端画学校を修了後、藤島武二(ふじしまたけじ)氏に素描修業、和田英作氏(東京美術学校校長)に洋画を学びました。昭和17年に出征し、昭和20年に復員して八鹿高等学校の絵の講師を務め、後に上京しました。平成11年の第35回八鹿町民文化祭で「特別展 池田朋章里帰り展」が開催されています。
青谿書院記念館に池田朋章の油絵があります。高い石垣の上に青谿書院と祠堂があり、庭には樫・松・樅(もみ)が描かれ、「朝昭2591」と署名されています。朝昭は当時の画号で、数字は皇紀2591年、昭和6年を表しています。
昭和の後半に八鹿駅の改札口の上に「妙見山 国宝 三重の塔」と題した油絵がありました。これは昭和26年8月9日、駅長の依頼を受けて描いた「夏の三重塔」です。
また、昭和27年12月18日に描いた「初冬の三重塔」が八鹿高等学校にあります。三重塔に日が差して、地面には雪があります。署名は池田朋章を表す「H・IKEDA」です。他にも昭和28年11月3日に描いた「晩秋の三重塔」が名草神社にあります。
兄の池田紫星(しせい)(本名・池田粂郎(くめお))氏は、日本海新聞の主筆などを務め、退職後に帰郷し昭和28年9月には著書『池田草庵』を発刊しました。
(教育委員会歴史文化財課)