健康 散歩中、犬に噛まれたら

近年、野犬を目にすることは少なくなりましたが、散歩中の飼い犬が出合い頭やリードが離れた少しのすきに近くにいた人を噛んだ、なでようとしたら噛みつかれた、という咬傷事故は時々起こっています。
犬に噛まれた時は、まず傷口を流水でよく洗い流し、医療機関を受診します。犬の口の中にはいろいろな細菌がいるので、抗生物質を処方されることが多いです。破傷風のワクチンを打ってから長期間(10年以上)経っている時は、破傷風のワクチンも打ってもらうとよいでしょう。傷口が大きい、或いは深い時は外科処置が必要なこともあります。
「狂犬病は大丈夫?」と心配される方もおられますが、現在日本国内で狂犬病の発生はありません(2020年に輸入感染症例〈現地で感染、国内で発症〉あり)。
飼い犬は狂犬病ワクチンを接種することになっているので、噛んだ犬がワクチンを接種しているか確認するとよいでしょう。飼い主に対しては、咬傷事故の保健所への届出や、獣医師による咬傷犬の狂犬病の有無の確認が都道府県の条例により定められています。
海外旅行先で現地の犬に食べ物を与えようとして噛まれた、という相談もありますが、海外では狂犬病の浸淫(感染が広がっている)地域がたくさんあります(厚生労働省ホームぺージ参照。動物種は犬だけではない)。発症前の狂犬病のワクチン接種で発症予防できますが、狂犬病は一度発症すれば死に至る病です。海外へ行った時に日本国内と同じ感覚でいるのは危険です。

奈良県医師会